そして2周目、先頭のパックは3名で沢田、織田選手、竹内選手。少し間を開けたセカンドパックの3名には小坂も。この並びで難所のキャンバーへ。沢田は先頭で担ぎ終え、今度は織田選手も最上部まで担いで上る。そして再び自転車にまたがろうとしたその時、織田選手が一気に先行した。とにかく一気にトップに躍り出た。それには理由があった。沢田のチェーンが落ちたのだ。沢田は完全に止まってしまった。
フロントギアにチェーンを掛け直すのに手こずる沢田。小坂のいるセカンドパックにも抜かれ、ようやく走り始めたときは7、8番手ほどだったろうか。20秒以上のロスをしてしまい、もはやここで宇都宮ブリッツェンの全日本は終わりかと思われた。
しかし次の周の3周回目。2番手を行く竹内選手のすぐ後ろに、沢田の姿が! 切れ目なく続くファンの声援に後押しされ、驚異的な追い上げで沢田は表彰台争いにカンバックしてきた。そのまま竹内選手をパスし2位に浮上。やはり、地元の声援は選手に力を与える。
沢田と竹内選手は、しばらく一進一退を繰り返したが、7周回目には沢田が完全に竹内選手を引き離し単独2位に。小坂はリズムよく踏んで5位をキープして進む。
そして最終ラップ。先頭は織田選手、2位沢田、3位竹内選手、4位竹之内選手、5位小坂の順で、織田選手と沢田の差は1分以上開いていた。織田選手は2周目の沢田のトラブル以降、落ち着いてレースを進めた。それだけに、トラブルを心配することはなかった。結局、全日本2連覇でフィニッシュ。
1分40秒遅れた沢田は2位。ギャラリーに左手を上げて挨拶をしながら、静かにフィニッシュラインを通過した。小坂は5位。宇都宮ブリッツェンとしての全日本ラストランは、観客にタッチをしながら終えた。
今季無敗の織田選手はやはり強く、沢田もそれは認めるところだが、勝負に勝ちを諦めることは絶対ない。来年の全日本選手権も宇都宮で開催されることが発表され、強くリベンジを誓う。
最後に、応援に駆けつけてくださった皆様、遠くから思いを寄せてくださった皆様に感謝申し上げたい。沢田の驚異的な追い上げは、皆様の後押しのお陰。残りわずかとなったシクロクロスシーズンも、引き続き応援よろしくお願いいたします。