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2023/10/09 レース

【レポート】マイナビ ツール・ド・九州2023 大分ステージ(UCIアジアツアー2.1)

【レポート】マイナビ ツール・ド・九州2023 STAGE3 大分ステージ(UCIアジアツアー2.1)

 

▼開催日

2023年10月9日(月)

 

▼スタート

大分県日田市・オートポリス

 

▼フィニッシュ

大分県日田市・中心部周回コース(大原八番宮周辺)

 

▼出場選手

谷 順成

阿部 嵩之

堀孝 明

沢田 時

小野寺 玲

本多 晴飛

 

競技概要

オートポリス〜上津江〜天瀬〜大原八番宮

距離:129km

出走:87名(18チーム)

スタート時の天気:曇り

スタート時間:11:30

▼レースレポート

4日間に渡り九州の地を走り抜いたツール・ド・九州もいよいよ最終日。今日は山岳ポイントを2回通過し、日田市の周回コースを5周してフィニッシュを迎える。全体的に下り基調だが、細かいアップダウンのあるコース設定だ。

スタート地点である国際サーキット場のオートポリスは普段はモータースポーツで賑わいを見せるが、この日はロードバイクが駆け抜けることに。早朝まで雨が降っていたこともあり、霧がかったコースの中でスタートの号砲が鳴り響いた。前日の厳しいステージは完走できなかった選手も多く、最終日にペダルを踏めた選手は90名を切っていた。

オートポリスはパレード走行も含めて4周回。前半は兒島直樹選手のポイント賞を守るため、チームブリヂストンサイクリングの選手たちが先頭でペースを作る。また、個人総合争いは1分以内に7名がひしめくため激しい展開が予想され、海外チームの面々が2周目完了時点(9.3km地点)にある中間スプリントポイントのボーナスタイム目当てで前方に集まった。

中間スプリント1回目は兒島選手が1位通過でボーナスタイム(−3秒)を獲得。同時にカウンターアタックで10数名の選手が仕掛け、集団が活性化しながらオートポリスを後にした。そこから公道使用のレースに移ったが、雨上がりで濡れた長い路面では落車も起きる。オートポリス後は日田市中心部に向かって高低差700mの下り基調のためハイペースで集団は進んだ。

先頭では11名による逃げが形成されて、4級山岳の上津江を山岳賞ジャージのベンジャミ・プラデス・レヴェルテ選手(JCL TEAM UKYO)が1位通過。だが逃げは下りでメイン集団に吸収されてしまう。

続く3級山岳の天瀬までに集団は分裂。22名が先頭グループで通過し、宇都宮ブリッツェンは小野寺玲と沢田時が加わっている。そこからアップダウン区間が続くことで集団は割れ、3名の選手が抜け出すことに成功。ライアン・カバナ選手(キナンレーシングチーム)、デクラン・トレザイス選手(ARAスキップ・キャピタル)ベンジャミン・ダイボール選手(ヴィクトワール広島)と全員オーストラリア国籍の逃げメンバーは、後続に2分ほどタイム差を広げた。個人総合5位のダイボール選手はこれで総合バーチャルリーダーに。

小野寺、沢田のいる17名の追走集団では、個人総合リーダーのアンドレイ・ゼイツ選手(アスタナ・カザクスタン チーム)が同僚のアントニオ・ニバリ選手と牽引。そして逃げの3名は日田市の周回コースに突入し、残り57kmとなった。周回コース2周目になると追走17名に後続が追いつき、大集団となってスピードアップする。

宇都宮ブリッツェンは阿部嵩之、堀孝明、本多晴飛が合流後に大集団を牽引。アベタカが一気にペースを上げると、じわじわと先頭とのタイム差が縮まる。アスタナ・カザクスタン チームも協力すると、メイン集団が残り3周に入った時点で先頭と1分38秒差になった。逃げる3名の勢いも弱まらなかったが、残り2周で1分08秒差、ファイナルラップで47秒差と詰まってきた。宇都宮ブリッツェンは沢田、阿部、キャプテンの谷順成がメイン集団前方に残っていた。

だが先頭諦めることなく粘りを見せ、3名のスプリント勝負となってARAスキップ・キャピタルのトレザイス選手が勝利をもぎ取った。宇都宮ブリッツェンは谷の21位が最上位となった。個人総合初代王者にはゼイツ選手が輝き、谷は個人総合11位で終えた。全3ステージを完走した選手は74名。

谷は初開催となったツール・ド・九州について「日本でこれだけ盛大にレースが開催できることはすごい。この大会に自分が参加できたことに感謝したい」とコメント。国内では数少ない公道を使用したラインレースとして、来年以降もぜひ開催してほしい。それが日本の自転車ロードレース界の発展と選手たちの成長に繋がるはずだ。

「チームとしても4日間で成長できた。この勢いのまま、来週のジャパンカップでもチーム全員で戦いたい」と谷は続けた。地元宇都宮で開催されるアジア最大級のビッグイベントで、今年も赤い戦士たちの躍動する姿に期待が高まる。

【西村大輝監督のレース後のコメント】

「今日のステージは谷と沢田の総合成績を考えて走った。谷は同タイムの選手がいたため中間スプリントポイントもチャレンジして、ボーナスタイムでひとつでも総合を上げていこうとスタートした。選手の調子にばらつきがある中で、調子の良い選手がチームを引っ張ってくれた。調子の上がっていない選手も自分のできることを探しながら走ってくれた。難しい展開のステージだったが、チームで協力して谷も沢田も集団に残ることができた。良いレースになった」

【谷順成のレース後のコメント】

「下りが長くテクニカルなコースとわかっていたが、落車も多く、危険なシーンも多かった。チームとしては小野寺と沢田が先頭集団に入り、残りのメンバーはメイン集団で良い形で進むことができた。タイム差が開きすぎたので阿部、本多、堀に牽引に加わってもらい、逃げ集団を捕まえに行った。自分はいい位置で走ることができ、最後のスプリントも集団の中でゴールできたので、チーム全員で戦えた」

▼第3ステージリザルト

1位 デクラン・トレザイス(ARAスキップ・キャピタル) 2:57:32

2位 ライアン・カバナ(キナンレーシングチーム) +0:00

3位 ベンジャミン・ダイボール(ヴィクトワール広島) +0:00

21位 谷順成(宇都宮ブリッツェン) +0:08

22位 沢田時(宇都宮ブリッツェン) +0:08

50位 阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン) +6:19

66位 小野寺玲(宇都宮ブリッツェン) +11:08

69位 堀孝明(宇都宮ブリッツェン) +15:00

73位 本多晴飛(宇都宮ブリッツェン) +16:03

 

▼第3ステージ終了時点の総合リザルト

1位 アンドレイ・ゼイツ(アスタナ・カザクスタン チーム) 9:13:30

2位 アントニオ・ニバリ(アスタナ・カザクスタン チーム) +00:25

3位 ウィリアム・イーブス(ARAスキップキャピタル) +00:33

11位 谷順成(宇都宮ブリッツェン)+2:34

16位 沢田時(宇都宮ブリッツェン)+4:11

46位 小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)+29:32

59位 阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)+35:37

68位 堀孝明(宇都宮ブリッツェン)+43:47

74位 本多晴飛(宇都宮ブリッツェン)+58:15

 

▼各賞

個人総合時間賞 アンドレイ・ゼイツ(アスタナ・カザクスタン チーム)

ポイント賞 兒島直樹(チームブリヂストンサイクリング)

山岳賞 ベンジャミ・プラデス・レヴェルテ(JCL TEAM UKYO)

新人賞 ウィリアム・イーブス(ARAスキップキャピタル)

チーム総合時間賞 EFエデュケーション・NIPPO ディベロップメントチーム