◾️期待のホープ
最後に、初日に獲得した新人賞ジャージを守り抜いた宮崎についてだ。昨年は九州のスパークルおおいたで走っていたが、赤いジャージに憧れて宇都宮ブリッツェンの門を叩いた22歳。春先のレースからアシストとして積極的な走りをしていたが、個人として目標にしていたというTOJで一段と成長を見せた。初めてのTOJで総合9位、日本人選手だけなら総合4位の成績を残した。
「去年がそんなに強くなかった。TOJ前にしっかり休んで、今年一番いい状態になるように調整できた。去年はスプリンターチームだったから(脚質がクライマーの自分は)一緒に練習して高められる相手がいなかった。今年は増田選手など自分の脚質に似た強い選手がいて、小野寺選手や堀選手も自分より強い部分をたくさん持っている。そこでチームメイト間でも競争があって、自分の能力が底上げされたのかもしれない」(宮崎)
強い人の下で学びたい。そんな気持ちが宮崎を動かし、栃木の地を踏ませることになった。「僕がブリッツェンに入っていなかったら、ここまで成長できたかわからない」とあどけなく笑う。また周囲に期待されるようになったことが程よいプレッシャーとなっており、緊張感もある日々を過ごせることが良い方向に転がった。「増田選手ぐらい走れるようになりたい」と偉大な先輩の背中を追って、宮崎はこれからも進むだろう。
「宮崎は伸び盛りでやればやるほど強くなって、経験を積めば積むほどレースもうまくなると思う。ブリッツェンにいる間は成長させたい。宮崎に限らずキャプテンとしてチームの若手を引っ張っていきたい」(増田)
エース増田にとっても頼もしい仲間になったようだ。2022年のTOJは外国勢に歯が立たなかったが、宇都宮ブリッツェンの選手たちは前を向き、これからもレースを戦っていく。
「どこまで行っても満足はない。さらなる成長を見据えてやっていきたい」
増田の言葉は宇都宮ブリッツェンをより高みへと導くものになる。TOJはチーム右京のアール選手が総合優勝した。