そんな副島選手を背後に感じつつも、沢田はリズムよく周回を重ねていった。2位副島選手との差を20秒、35秒、40秒と広げていき、残り3周には1分10秒に。日差しが差し込み始めるほど雨はすっかり上がっており、秒差的には余裕が出ていたが、マッドコンディションだけにトラブルの可能性は高く、最後まで気が抜けない。特に今季、ミスやトラブルも多い沢田にとってはなおさらだ。一方小坂は最初から4位で単独走行をしていたが、3位鈴木来人選手(OnebyESU-ICV)との差をじわりじわりと縮めていた。最終ラップには、鈴木選手の背中を捕らえる位置に。
結局、沢田は後続を引き離し続け、2位と1分41秒差で優勝。2位続きで何度も涙を流した沢田にとって、2023-2024シクロクロスシーズンとして今季初優勝となった。
小坂は鈴木選手と最後まで3位争いをし、沢田も応援に加わり大声を上げたが、わずか4秒差で表彰台を逃す結果に。無我夢中で小坂に声援を送った沢田は「光さんとはこれからもレースをするとは言え、宇都宮ブリッツェンのチームメイトとして走るのは今日が最後だった。スタート前から『いい日にしよう』と話していたので、応援に熱が入った」と振り返って笑う。
フィニッシュ後、小坂と沢田とはドロドロの手で固い握手を交わし、宇都宮ブリッツェンシクロクロスチームのバトンが沢田に託された。
沢田の今シーズン国内シクロクロスレースはこれが最後。先週の全日本選手権直後に2月4日に開催される世界選手権日本代表に選出され、7年ぶりとなる世界の舞台に向けて集中する。小坂は2月11日の関西シクロクロス二色の浜を最後に、宇都宮ブリッツェンの赤いジャージを脱ぐ。世界と戦う沢田、チームの創成から貢献してきた小坂、両者に最後まで応援よろしくお願いいたします。