レースは前半から高速で進む。逃げを作ろうにも、スプリントに持ち込みたいキナンレーシングチーム、マトリックスパワータグを中心にそれを許さず、特にフランシスコ・マンセボ選手(マトリックスパワータグ)がほとんどの逃げを潰しにきた。宇都宮ブリッツェンも8周目で阿部、13周目では沢田がアタック。これもほどなくして集団に飲み込まれたが、14周目にも沢田が動き、脚の調子の良さと、御岳山での個人合宿で鍛えた心肺機能を見せつける動きとなった。その回復力は中継での解説でも、驚きを持って伝えられたほどだ。
本多晴飛、堀孝明、谷順成が順にレースを降り、残り4周辺りから阿部も集団後方に下がってしまうようになる中、沢田が小野寺をしっかりアシスト。沢田は今年、競技人生の中で初めて、宇都宮ブリッツェンのようなロードレース中心のチームに加入したが、レースを重ねるごとに「自分がどう動くべきだったか」と、TRY&LEARNを繰り返していた。今日のように、最後までアシストとしてゴール前まで行けたのは初めてと言ってもいいのではないか。しかし結果は小野寺が4位。沢田がそのまま滑り込んで5位。
優勝した岡本隼選手(愛三工業レーシングチーム)がインタビューで答えたが、今日のレースは最初に出てくるヘアピンコーナーからスプリントフィニッシュの位置取り合戦が始まっていた。沢田と小野寺は15番手辺りでそのヘアピンを通過し、そのまま番手を上げられずに、小野寺が「最低でも4番手にいなかければ」と言っていた最終コーナーを12番手で通過。それでもよく4位まで上げられたと思うところであるが、小野寺がゴール後にコメントしたように、最終コーナーまでに番手を上げられなかったことに悔いが残り、また、最後までもっと選手を残せるようにしなければならないという反省点も残った。
明日は総距離148.1㎞のおおいたアーバンクラシックが開催される。明日に照準を合わせているチームもあって、また違った展開が予想される。総合力をつけてきた小野寺はもちろん、上り調子の沢田、今季エースを務めることの多い谷で、宇都宮ブリッツェンらしいレースをしていきたい。