7周目に入ると沢田は単独で2番手、小坂も5番手に。霰は本格的な雪に変わり、薄っすら積もり始めた。今季初めてエリート上位選手がズラリと揃い、寒く、強風で、こんこんと降り続ける雪…と、野辺山におあつらえ向きの気象条件の中、各選手は単独走行となって周回を重ねていくレース展開。そして、織田選手の独走は変わらず。
迎えた最終ラップも、沢田から30秒ほど先行する織田選手。そのままフィニッシュを迎え、沢田も健闘したが差を埋めることができず2位。小坂はミスなくペースで踏んで、前半の6位から5位に順位を上げて帰ってきた。
沢田はレース中は気がつかなかったが、フィニッシュしてアドレナリンが切れると、右の腕と腰に激しい痛みを感じた。「シクロクロスは転ばないのもテクニックであり、勝つ条件の1つであるから、落車は自分のミス。泥区間に入る手前だったので、織田選手を抜いて差を広げたかった」と振り返る。ツール・ド・おきなわでは、勝ち逃げに乗れるチャンスを、積極性の欠如から逃してしまった。その悔しさを胸に臨んだシクロクロス初戦。「積極的に行った結果ではあるが、先頭パックで走れていたので、落車がなければもっと勝利に絡めるレースができたと思う。明日がUCIレースで、明日のほうが重要。昨年はこの時期、織田選手にすでに水をあけられていたが、今年は肩を並べて走ることができた。調子はいい」と沢田。また小坂も、調子の良さを感じている。9月最初に罹患した新型コロナウイルスの感染症から、後遺症のようなものを感じており、10月9日の土浦ステージでは力が入らないことにショックを受けたほどだったが、「今日は、昨年の今頃の調子を戻せてることを実感した。周囲の選手のレベルが上がってきており、特に若い選手のスタートからのダッシュには目を見張るものがあるが、それに惑わされることなく落ち着いて走れば、レース後半は差が詰まっていくことを信じて、今日も走ることができた。明日もそこが大事だと思う」とベテランらしいマインドを見せた。
さぁ、いよいよ宇都宮ブリッツェンシクロクロスチームが今シーズンも本格始動した。沢田が言う。
「今シーズンは全日本選手権が宇都宮である。そこに、光さんと2人で出られるのだから、たくさんの方に応援してもらいたい。そのためには、期待してもらえる走りを見せていかなければ。宇都宮ブリッツェンシクロクロスチームの2人で盛り上げていけるよう、頑張りたい」
2人の赤い雄が、シーズンを最初から最後まで共に駆け抜ける今年。まずは明日のDAY2、UCIレースでの好リザルトを期待したい。