後続もすぐ後ろに付けていたが、阿部はスタート&フィニッシュ地点手前で先頭に躍り出る。そのまま1位通過することで25周回目のスプリント賞を獲得した。“アベタカ”の愛称で親しまれ、独走力の高さから普段はメイン集団の牽引役を担うことも多い阿部だが、スプリント力にも定評がある。今季最後でチームを退団し、来季は愛媛県を拠点とするヴェロリアン松山に移籍が決まっており、赤いジャージの阿部を見られるのも残り少なくなった。そんな中でのスプリント賞獲得は嬉しい限りだ。
阿部は山本選手と協調体制を取り、2名の強力な逃げが形成されるかのようにも見えたものの、集団はそう簡単には逃してはくれない。2名が吸収されると再びアタック合戦が勃発するが逃げは決まらず、フィニッシュに向けてシマノレーシング勢が集団のコンロトールを始めた。そんな中、残り500mを切ったゆるい上りで仕掛けたのはWPGAのバス ファン ベル選手だ。一瞬の隙にアタックを決めたオランダの若手ライダーがそのままフィニッシュラインを走り抜け、本場ヨーロッパの層の厚さを見せつけた。宇都宮ブリッツェンの最高位はフォンの15位。
宇都宮ブリッツェンは阿部が25周回目のスプリント賞で自身今季初の表彰台となった。「どんな形であれ表彰台に上って名前を呼んでもらい、非常に嬉しかった。その一言に尽きる」と笑顔を見せた。
5日は美祢・秋吉台カルスト国際ロードレースが行われる。クリテリウムとは違い起伏に富んだコースで行われるため、キャプテンの谷と堀孝明の走りに期待がかかる。