しかし副島選手、横山選手も力強い走りを見せ、レースは一進一退の攻防。小坂は4周目で遅れるシーンもあったがなんとか喰らいつく。5周目になると元全日本チャンプの竹之内悠選手(/slash Cinelli -Vision)が猛烈な追い上げを見せ、先頭パックに追いつく場面もあった。
小坂が動きを見せたのは6周目。先頭に抜け出すとサンドセクション、階段と華麗にこなし、自らペースを作り出す。すぐ後ろから迫るのは序盤から争っていた横山選手と副島選手だ。しかし、7周目のサンドセクションの直線で小坂がスピードダウンして、そのまま降車。バイクを押すことで対応するが、その横から2名が抜き去って行く。小坂は3番手に順位を下げてしまった。
そのままファイナルラップに突入し、小坂は先頭の横山選手、副島選手に15秒ほどリードを許すことに。そして追い上げてきた加藤選手と激しい3位争いを展開する。最後は副島選手が横山選手を振り切って優勝をもぎ取った。
3位はホームストレートでのスプリント勝負に持ち込まれたが、小坂が一枚上手だった。優勝こそ逃してしまったが、宇都宮ブリッツェンでのラストランで表彰台を獲得した。
小坂はレース後に「スプリントになったら力を出し尽くしてやるしかないと思った」と振り返ったが、足が攣る中でのスプリントだった。「ブリッツェン最後のレースだったので、最後は気持ちだけで走った」と苦笑い。そして、小坂はこう続けた。
「宇都宮ブリッツェンで活動して日本のシクロクロスを盛り上げる力に少しでもなれたかなと思っていますが、まだまだ走り続けますので引き続き応援していただけたら嬉しいです。若い選手たちも育てるので、僕も走りを見るのが楽しみですし、一緒にレースをするのも楽しみ。これからもシクロクロスが大好きなので続けていきたいと思います。今日はありがとうございました」
宇都宮ブリッツェンに小坂光という選手がいたから、宇都宮市内の城址公園や道の駅ろまんちっく村でのシクロクロス開催が実現したと言っても異論を唱える人はいないだろう。そしてその活躍は宇都宮市民はもちろん、全国のシクロクロスファンにも伝わった。
かつての父・正則氏のようにシクロクロス界を牽引する一人として、これからも小坂はシクロクロスを愛し、楽しむだろう。そして沢田時ら後輩たちと共に、これからもレースを盛り上げてくれるはずだ。