周回を重ねるごとに差が開くのは、やはりシケインだった。柚木選手は乗車のままバニーホップで超えるが、沢田は担ぎだ。5周目に副島選手がメカトラでドロップし、柚木選手と沢田のランデブーがしばらく続いたが、6周目に入ると柚木選手が沢田を引き離しにかかり、明らかな差が開く。
7周目に入るコントロールラインを単独トップで通過したのは柚木選手。沢田は22秒も遅れてしまう。なんと6周回目に周回遅れの選手が直前で落車をし、沢田はそれに絡んでしまった。復帰に時間を要し柚木選手と差が開いてしまい、逆に副島選手が15秒差まで追い上げてきた。小坂は4番手に上げており単独走行。
残り2周にして柚木が30秒のアドバンテージを得て、優勝をほぼ手中に収めていたが、2位争いがデッドヒート。沢田と副島選手の差は8秒まで縮まり、ファイナルラップに入るときにはその差は3秒に。
最後は柚木選手が単独フィニッシュ。2位はメカトラからの驚異的な追い上げを見せた副島選手。3位に沢田、4位に小坂という結果となった。
落車に絡んだ沢田は不運もあったが、「柚木選手と副島選手が今日は強かった。そこはきちんと認め、来週の全日本に向けて1週間、休息も取って調整をしていきたい。データ的にはパワーはしっかり出てる」と言う。小坂も「単独走行になったが、自分の走りに集中でき、それを最後まで維持してペースを上げることもできた」と前向きだ。
選手にとって最も大事なレースである全日本選手権。ここで優勝して日本一になれば、その証である白いジャージを1年間着用できる。そのレースがチームの地元である宇都宮で開催される。2016年に同じ宇都宮で開催された全日本選手権でチャンピオンになったのは他でもない沢田だ。相性のいいこのコースで最高の走りを見せたい。また小坂は創成期から在籍した宇都宮ブリッツェンとしての最後の全日本。宇都宮市役所勤務でもあり、この誇り高き場所で有終の美を飾りたい。