▼レースレポート
長良川の河川敷でおこなわれたiRC Tire Presents KINAN AACA カップ第 3 戦。ホビーレーサーが気軽にレースに出られるよう開催されているシリーズ戦だが、今回は少し様子が違った。宇都宮ブリッツェンはフォン・チュンカイを含む8名を投入。5月21日から始まるツアー・オブ・ジャパンまでレースが少ないため、VC FUKUOKA、レバンテフジ静岡、ヴィクトワール広島など今季勢いのあるチームも、ほぼフルメンバーを揃えて参戦してきた。
フォンは、10日ほど前に宇都宮に本格移住して活動を開始。新しいメンバーとのコミュニケーションを深めながら日本のレースに慣れていくためには、こうした実戦で経験を積んでいくことが一番だ。長い車移動やチームメイトとの宿泊も、新生宇都宮ブリッツェンにとっては1つ1つが貴重な時間と言えよう。
レースは河川敷を折り返すレイアウトで、この日は往路が追い風、復路が向かい風とハッキリと分かれ、しかも最後は風速5mにもなり、出店テントは畳まなければならないほどであった。
そんな中、スタート2周目で早くも8名の逃げが形成され、チームとしてはフォン、堀孝明、本多晴飛の3名を送り込むことに成功。全20周中半分を過ぎたころにはフォン、横塚浩平選手(VC FUKUOKA)、高梨万里王選手(レバンテフジ静岡)、レオネル・キンテロ選手(ヴィクトワール広島)の4名に絞られ、このとき集団との差は1分30秒ほどに。4人はその差をキープしながら逃げ続け、他の宇都宮ブリッツェンのメンバーは、集団で次の展開に待機しつつも、残り3周ではグルド・ダニエル選手(レバンテフジ静岡)、久保田悠介選手(ヴィクトワール広島)の飛び出しに堀がしっかりとチェックに回るなど、組織的にレースを動かしていった。
逃げはキンテロ選手が脱落して3名となったが、いずれにしても逃げを牽引し、加速させていたのはフォンだった。総距離102㎞と長丁場のレースではあったが、昨年までワールドツアーチームに所属していたフォン選手は、いつも倍以上のレースを走っていた。とは言え、どんな小さなレースでも「優勝」となると難しい。フォンは、先頭固定のような形で長い時間引くことも多く、スプリントの相手は3月の富士クリテリウムチャンピオンシップ、2週間前の九州チャレンジロードレースで優勝した横塚選手だ。