カーター・ペトルス選手(ヴィクトワール広島)、宇都宮市出身の床井亮太選手(レバンテフジ静岡)、山本大喜選手(JCL TEAM UKYO)、そして今季から宇都宮ブリッツェンに加入した本多晴飛だ。昨季はチーム右京だった本多は新天地の地元レースで逃げのチャンスを逃さず、3名と協調体制を取ってペダルを回す。4名と後続とのタイム差はあっという間に1分を越えた。
一度はやんだ雨だったが、またパラパラと選手たちに落ちてきていた。残り6周の時点でタイム差は1分半まで広がったが、ゴールを意識し始めた後続はじわじわと差を縮めてきていた。VC FUKUOKAなどスプリンターを擁する各チームが集団のペースを上げ、1周で10秒程度詰めてくる。
宇都宮ブリッツェンのスプリンターといえば、昨年JCL年間チャンピオンを獲得した小野寺玲。終盤は前輪のパンクでチームカーを呼び後方に下がる場面もあったが、無事復帰した。しかし、ここで大きく力を使ってしまう。
後続から逃げる4名の背中が見えてきた。残り2周でその差は30秒程度。集団が一気に仕掛ければ追いつきそうだが、小雨の影響もあるのかなかなか捕まえることができない。宇都宮ブリッツェンでは沢田時たちが小野寺のために牽引するが、先頭4名でも追走を気にして勝負が始まった。
オーストラリア出身の24歳、ペトルス選手が残り1周を前にアタックをかけ、単騎でファイナルラップ突入を告げる鐘の音を聴いた。力強くペダルを踏み込むとどんどん差を広げ、独走で7km先のゴールを目指す。後方では集団から追い上げを見せたJCL TEAM UKYOの岡選手が一人追走していた。
ペトルス選手がそのまま逃げ切り、自身初となるJCL公式戦で勝利をつかみとった。宇都宮ブリッツェンは、岡選手に続く小集団でゴールした小野寺が5位となった。勝利こそ逃したが、栃木在住の選手に贈られる栃木県民賞は小野寺が獲得。
「昨年は勝ってこの賞をいただけたので、賞はうれしいが悔しさが残る。最終盤でパンクしてうまく立ち回れなかった。反省点は残るが明日新たに頑張りたい」と振り返った。
また、逃げ集団に加わった本多がベストアグレッシブライダー賞に選ばれている。「新しいチームでの初戦、地元開催で緊張もしたが逃げに乗って最低限チームに貢献できたと思う。一安心なところもあるが、目の前で勝利を逃した悔しさもあるレースになった。赤い服で応援してくれる皆さんが見えることは力になった。ありがとうございました」と笑顔を見せた。