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2023/03/25 レース

【レポート】三菱地所JCLロードレースツアー2023 カンセキ真岡芳賀ロードレース

三菱地所JCLロードレースツアー2023 カンセキ真岡芳賀ロードレース

小野寺が5位、逃げにのった本多がベストアグレッシブライダー賞に

 

▼開催日

2023年3月25日(土)

 

▼スタート&フィニッシュ

真岡井頭公園周辺特設周回コース(〒321-4415 栃木県真岡市下龍谷99番地)

 

▼出場選手

小野寺玲、阿部嵩之、谷順成、中村魁斗、沢田時、本多晴飛

(当初予定のフォン・チュンカイが体調不良のため、中村に変更)

 

▼競技概要

真岡井頭公園周辺特設コース(7.2km×17周=122.4km)

出走:53名(JCL7加盟チーム、JCL代表チーム1、クラブチーム3チーム)

天気:小雨

スタート時の気温:11度

スタート時間:12時30分

▼レースレポート

 

3シーズン目のJCLロードレースツアーがいよいよ開幕した。今年も初戦を飾るのは真岡芳賀ロードレースだ。宇都宮ブリッツェンにとっては勝手知ったる地元コースであり、さらに2021年から2年連続優勝と相性もいい。

 

コースは細かなアップダウン、住宅地のテクニカルなコーナーも一部あるが、基本は平坦で走りやすいレイアウトだ。沿道の観客はカサを片手に声援を送る中、レースがスタートした。

 

序盤は細かなアタックはあるものの、決定的な動きがないまま距離を重ねていった。宇都宮ブリッツェンの谷順成キャプテンはレース前に「誰でも勝ちを狙えるメンバー。積極的に前で展開していく」と意気込みを見せる。逃げのレース展開を想定し、チームメイトたちは常に集団前方をキープする。

 

6周目に入る頃、それまでも積極的に前方で機会をうかがっていた宇都宮ブリッツェンのベテラン、阿部嵩之が抜け出しに成功。そこに高梨万里王選手(レバンテフジ静岡)、岡篤志選手(JCL TEAM UKYO)が阿部に追いつくと、3名で淡々とローテーションを始めた。

 

しかし残り10周を残して3名は後続集団に吸収され、レースは振り出しに戻った。だが、そこからまたすぐレースは動く。一度はまとまったように見えたが、活性化していた集団から瞬く間に新たな逃げが発生した。

カーター・ペトルス選手(ヴィクトワール広島)、宇都宮市出身の床井亮太選手(レバンテフジ静岡)、山本大喜選手(JCL TEAM UKYO)、そして今季から宇都宮ブリッツェンに加入した本多晴飛だ。昨季はチーム右京だった本多は新天地の地元レースで逃げのチャンスを逃さず、3名と協調体制を取ってペダルを回す。4名と後続とのタイム差はあっという間に1分を越えた。

 

一度はやんだ雨だったが、またパラパラと選手たちに落ちてきていた。残り6周の時点でタイム差は1分半まで広がったが、ゴールを意識し始めた後続はじわじわと差を縮めてきていた。VC FUKUOKAなどスプリンターを擁する各チームが集団のペースを上げ、1周で10秒程度詰めてくる。

 

宇都宮ブリッツェンのスプリンターといえば、昨年JCL年間チャンピオンを獲得した小野寺玲。終盤は前輪のパンクでチームカーを呼び後方に下がる場面もあったが、無事復帰した。しかし、ここで大きく力を使ってしまう。

 

後続から逃げる4名の背中が見えてきた。残り2周でその差は30秒程度。集団が一気に仕掛ければ追いつきそうだが、小雨の影響もあるのかなかなか捕まえることができない。宇都宮ブリッツェンでは沢田時たちが小野寺のために牽引するが、先頭4名でも追走を気にして勝負が始まった。

 

オーストラリア出身の24歳、ペトルス選手が残り1周を前にアタックをかけ、単騎でファイナルラップ突入を告げる鐘の音を聴いた。力強くペダルを踏み込むとどんどん差を広げ、独走で7km先のゴールを目指す。後方では集団から追い上げを見せたJCL TEAM UKYOの岡選手が一人追走していた。

 

ペトルス選手がそのまま逃げ切り、自身初となるJCL公式戦で勝利をつかみとった。宇都宮ブリッツェンは、岡選手に続く小集団でゴールした小野寺が5位となった。勝利こそ逃したが、栃木在住の選手に贈られる栃木県民賞は小野寺が獲得。

 

「昨年は勝ってこの賞をいただけたので、賞はうれしいが悔しさが残る。最終盤でパンクしてうまく立ち回れなかった。反省点は残るが明日新たに頑張りたい」と振り返った。

 

また、逃げ集団に加わった本多がベストアグレッシブライダー賞に選ばれている。「新しいチームでの初戦、地元開催で緊張もしたが逃げに乗って最低限チームに貢献できたと思う。一安心なところもあるが、目の前で勝利を逃した悔しさもあるレースになった。赤い服で応援してくれる皆さんが見えることは力になった。ありがとうございました」と笑顔を見せた。

【西村大輝監督のレース後のコメント】

本多が強力な逃げに乗り他チームの戦力も使うことができたが、最後は力勝負になってしまい、あと一歩届かなかった。今大会は無線が使えないため現場判断に任せたため、選手とすぐ情報を共有することもできずタイムラグが生まれてしまった。本多の脚は素晴らしかった。昨年彼は思うような結果を残せないシーズンだったが、今年宇都宮に来て急成長した。

レースの終盤、沢田と小野寺がパンクして後ろに下がった。タイミングが悪く、集団に追いついたても最後の勝負が難しくなった。脚も使ってしまい、ついてなかった。最終盤の逃げをキャッチできる展開に持っていけると勝つ勝率が上がる。あそこで捕らえられるチームになるよう全員の底上げをしていきたい。

今シーズンも全日本や地元のジャパンカップ、いい走りができるように。地元レースだけにたくさんのサポーターの声が力になった。明日もチーム一丸となって頑張りたい。

【小野寺玲のレース後のコメント】

悔しさが残る結果になった。最後も表彰台圏内も見えたがスプリント仕切れなかった。寒さでキツかったこともあるが、最終盤のパンクでそこからの復帰で脚を使ってしまった。運を味方につけられなかった展開。残り3周を切ってタイヤに違和感がありチームカーを読んだが、今回は運が悪かった。

 

全体を振り返ると最初のアタック合戦はみんなで動くことができ、晴飛もいい動きをしてくれて手応えはあった。今日は悔しかったが、僕に限らず今年はスプリントできるメンバーが多いので、臨機応変に勝利に一番近い形で挑みたい。

 

個人として総合優勝を狙うことは強くは意識していない。チームに最善の形でシーズンを走れたらいい。個人の結果ばかりでなく、結果として誰かが総合を獲れたらいいし、もし自分が狙えるなら終盤にかけて狙っていくスタンス。期待されているガッツポーズは勝った時にしか見せられないので、勝っていろんなポーズを披露したい。

 

 

 

▼リザルト

 

1位 カーター・ペトルス(ヴィクトワール広島)2:51:56

2位 岡篤志(JCL TEAM UKYO)+00:20

3位 渡邊涼馬(VC FUKUOKA)+00:21

 

5位 小野寺玲(宇都宮ブリッツェン)+00:22

10位 谷順成(宇都宮ブリッツェン)+00:26

12位 沢田時(宇都宮ブリッツェン)+00:27

19位 阿部嵩之(宇都宮ブリッツェン)+00:49

21位 本多晴飛(宇都宮ブリッツェン)+01:11

25位 中村魁斗(宇都宮ブリッツェン)+02:09