織田選手独走の中、残り2周で2位争いが加熱した。沢田に竹之内悠選手(チネリ-ヴィジョン)が追いついてきたのだ。しかしファイナルラップには沢田が意地の走りを見せてアタックで竹之内選手を突き放し、独走状態に。沢田にとってプロになって初めての「移籍」という経験が、宇都宮ブリッツェンへの加入だった。赤いジャージの独走が、会場の目を引いた。会場には多くの宇都宮ブリッツェンサポーターが駆けつけていた。
結局レースは、今季負けなしの強さを見せた織田選手が独走勝利。全日本初タイトルを収めた。沢田は56秒差で2位。小坂は骨折が完治しないままの状態にも関わらず、レースを降りることなく5位でゴールすることができた。
ゴール直後、地面に膝を抱えて座り込み、顔を伏せ、目のあたりをぬぐう沢田。手のひらについたのは、涙だったのか、汗だったのか。しかしすぐに「よしっ!」と言って立ち上がって表彰式へ向かい、優勝した織田選手と熱い握手を交わした。
今季から宇都宮ブリッツェンシクロクロスチームが2人の選手体制となり、メカニックも2名帯同し、その他スタッフもいつも以上に揃えて、この大事な初戦に臨んだ。結果は選手の望むものではなかったかもしれないが、2023年シーズンのいいスタートを切ることができた。チーム内の雰囲気も良く、新生宇都宮ブリッツェンのゆく道は明るい。しばらくシクロクロスシーズンが続き、その後に控えるロードレースシーズンに向けて備えていきたい。