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2023/01/15 レース

【レポート】全日本選手権自転車競技大会シクロクロス

全日本選手権自転車競技大会シクロクロス

 

▼開催日

2023年1月15日(日)

 

▼スタート&フィニッシュ

ワイルドネイチャープラザ(愛知県稲沢市祖父江町・国営木曽三川公園)

 

▼出場選手

小坂 光、沢田 時

 

▼競技概要

ワイルドネイチャープラザ特設会場1周2.6km×10周

出走:51名

天気:曇り

スタート時間:1445

▼レースレポート

 

シクロクロス日本一を決める全日本選手権が、愛知県のワイルドネイチャープラザで開催された。例年は12月開催だが、今年は1月に開催されたことが、宇都宮ブリッツェンにとっては好都合だった。と言うのも、ディフェンディングチャンピオンである小坂光が昨年12月18日の宇都宮シクロクロスで落車し、上腕骨を骨折。新加入の沢田時も5月のTOJで落車して鎖骨・ろっ骨を複数骨折。できるだけベストな状態で臨むための、恵みの一か月となった。

 

会場となったワイルドネイチャープラザはJCF第3戦と同じ場所で、その際は沢田が2位、小坂が4位に入る。名物の砂セクションは、前日の試走は雨で締まって走りやすかったが、大会当日は乾いていつも通りの難所に。勝負の明暗を分ける箇所と目された。

 

2023新体制の初陣となったこのレース。沢田にとっては宇都宮ブリッツェンデビュー戦が全日本選手権という特別な状況に、「気持ちがフレッシュで、ワクワクする。全日本選手権なので一位以外は意味がないので狙っていく」と、強い気持ちをあらわにした。優勝すれば自身3度目の全日本チャンピオンとなる。一方小坂は、12月のケガが自身初の骨折で、この1か月をかなりのストレスで過ごしたという。それでも多くの方に支えられ、スタートラインに立つことができた。2人の赤いシクロクロッサーが全日本選手権に揃ったことそのものが、奇跡に近い。

 

午前中は15度と暖かかったが、午後に入って厚い雲が垂れ込め気温が下がる中、予定通り14時45分にレースがスタート。最大のライバルである織田聖選手(弱虫ペダル)は、今季負けなしの11連覇中。その織田が号砲と共に飛び出し、沢田、小坂も好位置で続き、ホールショットは沢田が奪う。

 

1周目は沢田と織田選手が先頭でペースメイクし、少し遅れて小坂。しかし2周目にはシケインをバニーホップで越える織田選手が飛び出し、沢田は6秒差、小坂は15秒差で追走。

 

しかしその差は徐々に開いていき、織田選手が独走状態に。レースが30分を過ぎたころには雨が降り始め、気温がさらに下がる。沢田も大きなミスをすることなく織田選手との差を最小限に抑え、小坂も差を2分ほど開けてしまってはいたが、5番手で粘りの走りを見せた。

織田選手独走の中、残り2周で2位争いが加熱した。沢田に竹之内悠選手(チネリ-ヴィジョン)が追いついてきたのだ。しかしファイナルラップには沢田が意地の走りを見せてアタックで竹之内選手を突き放し、独走状態に。沢田にとってプロになって初めての「移籍」という経験が、宇都宮ブリッツェンへの加入だった。赤いジャージの独走が、会場の目を引いた。会場には多くの宇都宮ブリッツェンサポーターが駆けつけていた。

 

結局レースは、今季負けなしの強さを見せた織田選手が独走勝利。全日本初タイトルを収めた。沢田は56秒差で2位。小坂は骨折が完治しないままの状態にも関わらず、レースを降りることなく5位でゴールすることができた。

 

ゴール直後、地面に膝を抱えて座り込み、顔を伏せ、目のあたりをぬぐう沢田。手のひらについたのは、涙だったのか、汗だったのか。しかしすぐに「よしっ!」と言って立ち上がって表彰式へ向かい、優勝した織田選手と熱い握手を交わした。

 

今季から宇都宮ブリッツェンシクロクロスチームが2人の選手体制となり、メカニックも2名帯同し、その他スタッフもいつも以上に揃えて、この大事な初戦に臨んだ。結果は選手の望むものではなかったかもしれないが、2023年シーズンのいいスタートを切ることができた。チーム内の雰囲気も良く、新生宇都宮ブリッツェンのゆく道は明るい。しばらくシクロクロスシーズンが続き、その後に控えるロードレースシーズンに向けて備えていきたい。

【小坂選手のレース後コメント】

レース中はケガのことはまったく考えずに走り、痛みもそれほど出なかった。思い切って走って、出し尽くした結果。今回は「やりきったな」という気持ちでいる。ただやっぱり、僕自身もそうだが、チームとしてもタイトルが欲しかった。そこは悔しい。宇都宮から遠い会場であるのに、サポーターの方々の力強い声援が聞こえ、そのお陰で最後まで走れたと思う。今までシクロクロスチームとしてはずっと1人だったが、時というチームメイトができて、すでに付き合いも長くて気心も知れてるし、心強い。今回のレースにあたっても、いろいろ話し合って準備ができた。チームとしてさらにパワーアップし、今シーズンの残りレース、また来年の全日本選手権を戦っていきたい。

【沢田時のレース後コメント】

もちろん1位を狙ってスタートし、作戦もしっかりハマって、ホールショットを獲って1周目を先行することができ、願ってもない展開に持ち込めたが、ただ優勝した織田選手が今日は強かったと思う。最後2位も危ない瞬間があったが、応援してくださっている方々を思い出し、もう一度ギアを掛けて踏み直して、2位という結果だった。宇都宮ブリッツェンでのデビュー戦ということもあり、現地に駆けつけてくださったファンの方々の声援に、「こんなに応援してもらえるんだな」と実感した。レース前からワクワクし、レース中も本当にたくさんの声が聞こえた。お陰で集中もできたし、レースを楽しむことができた。光さんとチームメイトになれたことで、これから2人で練習ができる。もっといい形で来年の全日本選手権を迎えられると思う。残り3戦、チームとしても残っているので、勝ち星を上げられるように頑張りたい。

▼リザルト

1位 織田 聖(弱虫ペダルサイクリングチーム)

 

2位 沢田 時(宇都宮ブリッツェン) +0:56

 

3位 竹之内悠(チネリ-ヴィジョン) +1:05

 

5位 小坂 光(宇都宮ブリッツェン) +2:39