▼レースレポート
少し汗ばむ陽気の中、駅前の大通りにて那須塩原クリテリウムが開催された。本日11月23日は増田成幸の39回目の誕生日だが、プロトンの中に増田の姿はない。前日発生した集団落車により骨盤を骨折。同じく出走予定だった中村魁斗も負傷し未出走。阿部嵩之、小坂光、堀孝明、小野寺玲の4名での戦いとなった。
コースは360度ターンが3か所あるテクニカルな周回コースで(全25周)、どれだけ集団前方をキープできるかが勝利の鍵。JCLの総合リーダー、スプリト賞は小野寺が1位だが、二連覇を掛けるチーム総合は2位。ただし1位のチーム右京と3位のスパークルおおいたとは勝利数3で並んでおり、チームは得意のクリテリウムで勝利して一歩先に進みたい。エース増田を欠いて、チーム力的にも精神的にもダメージはあるが、「弱気にならず、毎レース勝ちを狙う」と小野寺。小野寺自身も落車をしたが、走れる状態であると判断しての出走となった。
レースは15周回、ベンジャミン・ダイボール選手(チーム右京)のアタックに阿部が反応。小野寺も飛び乗り、8人の先頭グループが形成された。集団とは20秒差前後で周回を重ねる。8名にはスプリント賞で小野寺と32ポイント差2位の孫崎大樹選手 (スパークルおおいた)、今年のTOJ東京ステージを制したレイモンド・クレダー選手(チーム右京)がおり、このまま逃げ切りたいが、厳しいスプリント争いになることは間違いなかった。
残り5周になると、先頭にも牽制が入り後ろとの差が縮み始める。阿部は先頭から下がっていたが、追走集団には残っており、22周で集団が1つになったあとも仕事をこなす。同じく集団にいた小坂も23周目での武山晃輔選手(チーム右京)のアタックに反応し、しばらく武山選手と2人で先行。これで小野寺も脚を少し休めることができた。
最終周回は13名でコントロールラインを通過。チームは小野寺の単騎となり、5番目で最終コーナーを抜ける。そしてゴールスプリントはクレダー選手の番手という好位置でハンドルを投げ合ったが、ホイール半分ほどの差で惜しくも2位となった。ただこのところ、ゴール前の位置取りに反省点も多かっただけに、勝利したクレダー選手の後ろにつけた勝負勘は素晴らしく、序盤の強力な8名の逃げに阿部、小野寺を送れたこと、ゴールスプリント勝負に絡めたことは、たった4人で、しかも増田を欠いたレースとは思えないチーム力を見せた。キャプテン増田のスピリットがしっかりと受け継がれている証と言えよう。
小野寺は総合リーダーとスプリント賞をキープ。「2位にいた増田さんが離脱という状況になってしまったので、何が何でも守りたい」とコメント。また、10周目のポイントを取って地元特別賞となった阿部は「大けがを負ってしまった増田さんほか、ケガを負った選手にエネルギーを送れるようなレースをしたい」と言い、最後は大きなため息をついて、言葉を詰まらせながら「本当に今日はありがとうございました!」と、詰めかけたファンに挨拶をした。
JCLのレースとしては残り2戦。最後は11月13日のツール・ド・おきなわもポイント対象になっているため、残り3戦のJCLチームランキングからも目が離せない。