▼レースレポート
2014年から開催されている「おおいたサイクルフェス」の初日は、大分駅上の森口(南口)を出て、すぐ正面に広がる芝生広場周辺を舞台にしたUCI公認のクリテリウムレース。3年ぶりの海外招聘チームを含む、15チーム79選手が参加した。芝生広場では、大分県各地の物産品や自転車メーカーのブースも出店し、お祭りムード。大分駅直近のコースということもあり、沿道には多くの観客が詰めかけた。
大分いこいの道特設コースは、距離が短く、コーナーが連続するテクニカルなコースで、ハイスピードなレース展開が予想された。宇都宮ブリッツェンの増田成幸は、レース前に「チームは過去にこのクリテリウムは4回優勝したことがあるので、5回目の優勝を目指したい。ちょっと風があるので、しっかり攻めていきたい」とコメント。昨年の勝者、小野寺玲も「愛称のいいコース。十分に勝ちが狙える」と自信をのぞかせた。
増田はこの日、初めてメリダの新型スクルトゥーラチームを実戦投入。3年ぶりの開催となる宇都宮のジャパンカップに向けて、少しずつ身体とバイクを合わせていく計画だ。
地元のスパークルおおいたレーシングチームへの声援が大きい中、レースはスタート。駅前の市街地を走るため選手たちのモチベーションも高く、序盤からスプリンターを擁していないチームを中心に積極的に動く。3周回、山本元喜選手(キナンレーシングチーム)が飛び出して揺さぶりをかける。また、香港ナショナルチームやオーストラリアのARAプロレーシングシャインコーストなどが仕掛けて乱戦状態に。
10周回ごとに設けられたスプリントポイントの1つ目は、孫崎大樹選手(スパークルおおいたレーシングチーム)がトップ通過してポイント賞を獲得。こう着状態の中、13周回でライアン・カバナ選手(ヴィクトワール広島)、宇賀隆貴選手(チーム右京)、中村魁斗(宇都宮ブリッツェン)の3人が飛び出す。しかし、すぐに中村は集団に戻り、カバナ選手と宇賀選手の2人の逃げとなる。
逃げの2人は先頭交代をしながら、11秒ほどの差を保ったまま、19周回に入ったが、宇賀選手はその後遅れ始める。20周回のポイント賞は、一人一定のペースを保ったまま逃げるカバナ選手が獲得。後続集団は、ARAプロレーシングシャインコーストの2人が先頭に立ち、スピードを上げ、23周回でカバナ選手が集団に吸収されてレースは振り出しに戻った。
再び、レースが動いたのは25周回。今日積極的に動いているカバナ選手と山本元喜選手が再度集団からアタック。後方の追走集団は互いに牽制しながら一時お見合い状態になり、2人が若干離れる。
28周回、カバナ選手と山本元喜選手が集団に吸収された段階で、今度は山本大喜選手(キナンレーシングチーム)が先頭に出て引き離しにかかる。集団前方には、スプリント勝負に持ち込みたい、マトリックスパワータグ、宇都宮ブリッツェン、スパークルおおいたレーシングチームが出てくる。
30周回に入った時点で後続集団との差は9秒。最後のスプリント賞は山本大喜選手が取り、11秒差で31周回へ。宇都宮ブリッツェンが先頭に5人並ぶが、まだ本格的には追走せず、差は13秒、15秒、19秒と広がっていく。山本大喜選手の逃げは最大20秒差まで開いた。
15秒ほどの差をつけたまま、山本大喜選手がファイナルラップへ。後続集団先頭は宇都宮ブリッツェンの増田、阿部嵩之、小野寺が隊列を組んでスピードを上げ、スパークルおおいたレーシングチームの孫崎選手、沢田桂太郎選手がそれに付いていく。ヘアピンカーブを通過した後、山本大喜選手は焦りからか、その次のクランクコーナーで落車。勝負の行方は、先頭の宇都宮ブリッツェンの2人と、スパークルおおいたレーシングチーム2人に絞られる。最後のコーナーをぬけた残り300mで、それぞれ牽引役の孫崎選手、阿部から離れた、沢田選手と小野寺がロングスパート。イン側をとった沢田選手が僅差で小野寺をかわし優勝。惜しくも小野寺の連覇はならず、2着に終わった。