▼レースレポート
和歌山県南東部にある古座川町を舞台にした古座川ロードレース。自転車ロードレースファンにとって和歌山と言えば「ツール・ド・熊野」が有名だが、古座川ロードレースは初開催だ。熊野同様に自然豊かなコースが用意され、スタート&フィニッシュ地点を国指定の天然記念物「古座川の一枚岩」が見下ろしている。
まるでイタリアやフランスの山岳地帯のような雄大な地形が素晴らしいコースが設定されたが、1周41.6km周回コースの登坂距離は6km、獲得標高は314mに及び、平均勾配も4.15%になる。登りが長いぶんテクニカルな下りも続くことになり、選手にとってハードな戦いが予想された。宇都宮ブリッツェンはレース当日に宮崎泰史が体調不良で出場を辞退となり、5名体制でレースに臨んでいる。
序盤は阿部嵩之が向川尚樹選手(VC福岡)と逃げを決め、さらに独走するシーンも見られたが厳しい登りが始まる前にメイン集団に吸収された。山岳ポイントへの長い登坂に入るとTeam UKYO SAGAMIHARAのネイサン・アール選手、ベンジャミン・ダイボール選手が力を見せる。そこに地元和歌山のKINAN Racing Teamから山本大喜選手が食らいついていった。山岳ポイント通過後の下りで宇賀隆貴選手(Team UKYO SAGAMIHARA)が追いつき、Team UKYO勢は3名体制でローテーションを回す。
1周目はアール選手がトップ通過、以下ダイボール選手、宇賀選手、山本選手と続く。後続第1集団は16名が1分10秒遅れで追走。その中に宇都宮ブリッツェンは増田が含まれている。タフなコースだけに選手たちは複数の小集団に分かれており、小野寺玲は後続第2集団で前をうかがっていた。
2周目の山岳ポイント前にマルコス ガルシア選手(KINAN Racing Team)、石橋学選手(Team UKYO SAGAMIHARA)、そして増田が抜け出して先頭グループを追い始めた。山岳ポイント通過後の下りで3名は先頭と合流し、7名でペダルを回し続けた。
3度目の山岳ポイントへの登りでガルシア選手、アール選手が頭一つ抜け出した。アール選手が山岳ポイントを1位通過し、17秒遅れで増田が3位通過。その下りで仕掛けて単騎で逃げたのはガルシア選手だ。20秒ほどリードを広げたが、平坦に入るとアール選手、山本選手、増田が追いついた。
地元KINAN勢は2名と有利だが、フィニッシュが近づくにつれて牽制が始まる。残り1kmほどまで様子をうかがっていた選手たちから、早めに勝負に出たのは増田だ。残り300mでロングスパートをかけて一気に加速する。しかし、 増田の後ろについたアール選手がフィニッシュライン直前で底力を見せて優勝をもぎ取った。増田は惜しくも2位。
総合1位のイエロージャージは増田がそのままキープ。小野寺も6位に入り、ブルージャージを堅守している。