▼レースレポート
スーパーフォーミュラなどモータースポーツで使用される九州唯一のレーシングコース、オートポリスで行われる大分2連戦。来年10月に開催予定の大分、福岡、熊本の3県をまたいだステージレース「ツール・ド・九州」でもオートポリス周辺はコース予定となっている。大分は地元チームにSparkle Oita Racing Teamがあり、サイクルスポーツにも積極的な地域だ。
オートポリス初日は1周約4.6kmのロングコースの26周回で争われるロードレース。コースは4輪のレースも行われることから公道と比べて道幅に余裕があるが、最大勾配7.2%の長い上りが待ち構える。1周回で高低差が52mとアップダウンがあるため、周回を重ねるごとにじわじわと脚力に疲れがたまる。
風が強く、雨がパラつく中でスタートが切られた。序盤からアタック合戦が始まったが、メイン集団はなかなか決定的な逃げを許さない。動きが出たのは6周回目。増田成幸、阿部嵩之、宮崎泰史の宇都宮ブリッツェン3選手を含む15名による逃げが決まった。同じ栃木の那須ブラーゼンからも西尾兄弟や、山本大喜選手(KINAN Racing Team)、石橋学(Team UKYO SAGAMIHARA)エンクタイヴァン ボローエルデン選手(レバンテフジ静岡)など力のある選手がそろっていた。
その逃げ集団も8周回に入ると分裂して7名に減った。増田、阿部、宮崎のほか、山本選手、石橋選手、那須ブラーゼンの西尾憲人選手が先頭でローテーションを回す。Team UKYO SAGAMIHARAは吉岡直哉選手が追いついてきて、計8名となった。後続との差も広がっていき、13周回で2分ほどのアドバンテージ。
順調に逃げ続けた先頭集団。23周目で後続から阿曽圭佑選手(ヴィクトワール広島)、谷順成選手(那須ブラーゼン)、そして宇都宮ブリッツェンの小野寺玲が追いついてきた。それから間もなく阿部がゆるい上りで集団から遅れてしまったが、代わりにスプリンターの小野寺が加わったことはライバルチームにとって脅威になる。
残り3周目に入った直後、勝負に出たのは増田だ。西尾選手とともに2名での抜け出しに成功した。このまま栃木勢で協力してゴールを狙いたいところだが、残り1.5周ほどで西尾選手が遅れてしまう。独走力のある増田はそのまま一人旅でファイナルラップに突入。後続では小野寺がライバル選手の抑え役として目を光らせていた。
個人タイムトライアルも得意とする増田は懸命にペダルを回し続け、JCLリーダージャージでの逃げ切り勝利を飾った。表彰台がかかる後続集団ではスプリント勝負となったが、小野寺が難なく2位をもぎ取り宇都宮ブリッツェンがワンツーフィニッシュ。
表彰台で小野寺は「後半は脚がつるのをごまかしながら走った」と苦笑い。優勝した増田はロードレースはチーム戦であることを話し、「小野寺選手が最後に追いついてきてくれた。それまでの展開も阿部選手、宮崎選手と3人で有利に立ち回ることができた。今日、僕が勝てたのは仲間の動きのおかげ」とチームメイトを讃えた。