宇都宮ブリッツェンはスプリンターの小野寺玲に最終日のフィニッシュを託した。小野寺はレース前に「過酷な3ステージを経て、無事にここまでたどり着けた。疲労でいっぱいだが晴れやかな気持ち。最後、気持ちよく終わるためにしっかりと勝ちを狙って走りたい」と話している。初日と2日目はスプリンター泣かせの山岳コース、3日目も大雨の中で寒さと戦いながら走ってきた。条件はどの選手でも同じだが、ステージレースはいつも以上に体への負担が大きい。
パレード走行が終わって間も無くアタック合戦が開始された。最終日ということもあり、各々が最後の見せ場を作るためにペダルを踏む。2周目で8名の逃げが決まったと思われたが、決定的にはならず3周目に入ったところで後続が合流する。
最初の中間スプリント地点となる4周回目。ポイント獲得に向けて小スプリントが行われ、レオネル・キンテーロ・アルテアガ選手(ベネズエラ、マトリックスパワータグ)、岡篤志選手(EFエデュケーション・NIPPO デヴェロップメントチーム)、総合リーダーのネイサン・アール選手(オーストラリア、チーム右京)の順で獲得する。
なかなか逃げを容認しないメイン集団だったが、6周目で門田祐輔選手(EFエデュケーション・NIPPO デヴェロップメントチーム)、ホセ・ビセンテ・トリビオ選手(スペイン、マトリックスパワータグ)、西尾憲人選手(那須ブラーゼン)が飛び出すことに成功。30秒弱のリードを保ち、ローテーションを始めると7周目を終えてメイン集団とのアドバンテージは1分強まで広がった。
時計が正午を過ぎるころ気温も27度となり、ボトルの水を体にかける選手の姿も見られるようになってきた。沿道にはフラッグを掲げたブリッツェンサポーターたちの姿もあり、気温に負けない熱い想いを選手に届けていく。8周回目の中間スプリントポイントは、ポイント賞2位のチームメイト岡選手のためポイント獲得に動いた門田選手、2位浮上を狙うトリビオ選手が競う。結果は門田選手、トリビオ選手、西尾選手の順で通過。
その後、メイン集団から抜け出し追走していた入部正太郎選手(弱虫ペダルサイクリングチーム)、山田拓海選手(日本ナショナルチーム)、新城雄大選手(キナンレーシングチーム)の3名が加わりローテーションを強化。後続とのタイム差は1分20秒ほど開く。宇都宮ブリッツェンは最終スプリントを見据え、12周回目を数えるころからメイン集団前方をキープ。新人賞ジャージを着る22歳の宮崎泰史が先頭を牽引。増田成幸と阿部嵩之は少し下がった位置で、最終日のエース小野寺を守るように走る。
3回目、12周回目のスプリントポイントは門田選手、トリビオ選手、西尾選手の順で通過。これでトリビオ選手がポイント賞暫定2位に浮上し、トップのキンテーロ選手まで1ポイント差と迫る。後続は1分弱とタイム差を詰めてきた。メイン集団は残り3周で一気にスピードアップだ。14周回を終えた時点で逃げの6名の背後30秒まで迫ってきた。最後の集団スプリント勝負に持ち込みたいチームブリヂストンサイクリング、愛三工業レーシングチーム勢が積極的に前に出る。