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2022/05/22 レース

【レポート】5/22 三菱地所 presents ツアー・オブ・ジャパン 2022 4th STAGE 東京

三菱地所 presents ツアー・オブ・ジャパン 2022 第4ステージ 東京
▼開催日 2022年5月22日(日)
▼スタート&フィニッシュ 大井埠頭・みなとが丘ふ頭公園周辺(東京都品川区八潮3丁目)
▼出場選手 増田成幸、阿部嵩之、小野寺玲、宮崎泰史 (中村魁斗は第1ステージでDNF)
 
▼コース概要
大井埠頭周回コース みなとが丘ふ頭公園~八潮2丁目~みなとが丘ふ頭公園~南部陸橋東詰~大井南陸橋下交差点~東新物流前交差点~野鳥公園東~みなとが丘ふ頭公園 7.0km×16周 総距離:112km 出走:68名(16チーム) 天気:快晴 スタート地点の気温:27度 スタート時間:11時00分
▼レースレポート
 最終日を迎えたツアー・オブ・ジャパン(以下TOJ)。新型コロナウイルス(COVID‑19)感染対策のため、昨年同様の大井埠頭周回コースを使った最終バトルが行われた。かつては日比谷公園から1kmほどパレード走行し、ビル街を駆け抜けて大井埠頭へなだれ込むのが恒例だったが、2019年に米大統領の来日と重なりコース変更。それ以降のTOJ最終日は大井埠頭周回コースでのコースとなった。
 大井埠頭周回コースはアップダウンのないド平坦。海が近いため強風が吹くこともあるが、クリテリウムには最適な場所でレースも高速で展開されやすい。首都圏のホビーレーサーの練習場としても人気が高く、休日になると多くのロードバイクを目にすることができる。
 宇都宮ブリッツェンはスプリンターの小野寺玲に最終日のフィニッシュを託した。小野寺はレース前に「過酷な3ステージを経て、無事にここまでたどり着けた。疲労でいっぱいだが晴れやかな気持ち。最後、気持ちよく終わるためにしっかりと勝ちを狙って走りたい」と話している。初日と2日目はスプリンター泣かせの山岳コース、3日目も大雨の中で寒さと戦いながら走ってきた。条件はどの選手でも同じだが、ステージレースはいつも以上に体への負担が大きい。
 パレード走行が終わって間も無くアタック合戦が開始された。最終日ということもあり、各々が最後の見せ場を作るためにペダルを踏む。2周目で8名の逃げが決まったと思われたが、決定的にはならず3周目に入ったところで後続が合流する。
 最初の中間スプリント地点となる4周回目。ポイント獲得に向けて小スプリントが行われ、レオネル・キンテーロ・アルテアガ選手(ベネズエラ、マトリックスパワータグ)、岡篤志選手(EFエデュケーション・NIPPO デヴェロップメントチーム)、総合リーダーのネイサン・アール選手(オーストラリア、チーム右京)の順で獲得する。
 なかなか逃げを容認しないメイン集団だったが、6周目で門田祐輔選手(EFエデュケーション・NIPPO デヴェロップメントチーム)、ホセ・ビセンテ・トリビオ選手(スペイン、マトリックスパワータグ)、西尾憲人選手(那須ブラーゼン)が飛び出すことに成功。30秒弱のリードを保ち、ローテーションを始めると7周目を終えてメイン集団とのアドバンテージは1分強まで広がった。
 時計が正午を過ぎるころ気温も27度となり、ボトルの水を体にかける選手の姿も見られるようになってきた。沿道にはフラッグを掲げたブリッツェンサポーターたちの姿もあり、気温に負けない熱い想いを選手に届けていく。8周回目の中間スプリントポイントは、ポイント賞2位のチームメイト岡選手のためポイント獲得に動いた門田選手、2位浮上を狙うトリビオ選手が競う。結果は門田選手、トリビオ選手、西尾選手の順で通過。
 その後、メイン集団から抜け出し追走していた入部正太郎選手(弱虫ペダルサイクリングチーム)、山田拓海選手(日本ナショナルチーム)、新城雄大選手(キナンレーシングチーム)の3名が加わりローテーションを強化。後続とのタイム差は1分20秒ほど開く。宇都宮ブリッツェンは最終スプリントを見据え、12周回目を数えるころからメイン集団前方をキープ。新人賞ジャージを着る22歳の宮崎泰史が先頭を牽引。増田成幸と阿部嵩之は少し下がった位置で、最終日のエース小野寺を守るように走る。
 3回目、12周回目のスプリントポイントは門田選手、トリビオ選手、西尾選手の順で通過。これでトリビオ選手がポイント賞暫定2位に浮上し、トップのキンテーロ選手まで1ポイント差と迫る。後続は1分弱とタイム差を詰めてきた。メイン集団は残り3周で一気にスピードアップだ。14周回を終えた時点で逃げの6名の背後30秒まで迫ってきた。最後の集団スプリント勝負に持ち込みたいチームブリヂストンサイクリング、愛三工業レーシングチーム勢が積極的に前に出る。

 鐘が鳴り、最終周回が告げられるとメイン集団はさらに加速。逃げる選手たちまで17秒差まで縮まると完全にロックオン状態だ。フィニッシュまで残り3kmほどで6名を吸収し、ハイスピードでコースを駆け抜けていく。カーブに差し掛かると数名の選手がコース脇のパイロンを飛ばしてしまうハプニングもあった。
 最終局面を迎え、前方の位置どり争いに加わる宇都宮ブリッツェン。スプリントに照準を定めていたスパークルおおいたも攻めてきた。最終コーナーを曲がり小野寺が仕掛けたが、後方からレイモンド・クレダー(オランダ、チーム右京)が一気に速度を上げ、チーム右京に今大会3勝目をもたらした。小野寺は最後にいつもの伸びを見せられず10位でレースを終えた。
 全4ステージ中、外国人選手が3ステージを制したことで底力を見せつけたTOJ。最終的な個人総合成績では増田が日本人最高となる4位に入ったが、前年覇者だけに悔しさは人一倍だろう。だが宇都宮ブリッツェンは2日目に阿部がたった一人でメイン集団を60km以上も引き続け、また宮崎も全ステージでアシストをこなしながら躍動を見せた。集団での赤いジャージの存在感は多くのファンの目に焼きついた。
 新人賞ジャージを獲得し、個人総合も9位で終えた宮崎。「昨日の段階で(新人賞2位とは)1分以上差がついていたので、今日は仕事をしながらでも1分は守れると思った。当初はそこまで活躍できるとは思わなかった。自己分析をして次を考え、まずは全日本選手権でチームでの役割を果たしたい」と話し、早くも6月開催の全日本にも意欲的だ。
宇都宮ブリッツェンの次戦は、5月27日から3日間に渡り和歌山県を舞台に総走行距離322.8kmで行われる第22回ツール・ド・熊野(UCIアジアツアー2.2)となる。

【第4ステージ後の宮崎泰史のコメント】

去年はチーム選考会で選ばれることもなかった。ステージレースは初めてだったため、完走できたらいいなというイメージだった。全体で見ればそんなに良くなかったかもしれないが、新人賞ジャージが獲れてチームの仕事もできた。自分としては最大限のことができたと思う。今後は体とも相談しないといけないが、全日本選手権ではチームの役に立てるようにしっかり調整していきたい。

 

【第4ステージ 区間賞 リザルト】

1位:レイモンド・クレダー(オランダ、チーム右京) 2:17:22

2位:沢田桂太郎(スパークルおおいた) +0:00

3位:黒枝咲哉(スパークルおおいた) +0:00

10位:小野寺玲 +0:00

27位:増田成幸 +0:05

34位:阿部嵩之 +0:08

43位:宮崎泰史 +0:22

 

【第4ステージ終了後 個人総合時間賞 リザルト】

1位:ネイサン・アール(オーストラリア、チーム右京) 10:31:40

2位:ベンジャミン・ダイボール(オーストラリア、チーム右京) +0:08

3位:トマ・ルバ(フランス、キナンレーシングチーム) +1:37

4位:増田成幸 +2:42

9位:宮崎泰史 +4:58

25位:小野寺玲 +16:27

67位:阿部嵩之 +1:00:41

 

【第4ステージ終了後 団体総合時間賞 リザルト】

1位:チーム右京 31:40:57

2位:キナンレーシングチーム +6:10

3位:マトリックスパワータグ +6:26

4位:宇都宮ブリッツェン +18:14

 

【リーダージャージ】

個人総合時間賞 ネイサン・アール(オーストラリア、チーム右京)

ポイント賞 レオネル・キンテーロ・アルテアガ(ベネズエラ、マトリックスパワータグ)

山岳賞 小林海(マトリックスパワータグ)

新人賞 宮崎泰史(宇都宮ブリッツェン)

 

▼各総合成績はこちらを参照ください。

https://www.toj.co.jp/2022/result-time/