【レポート】Tour de Taiwan 2025 Stage 1 台北市(UCI 2.1)
▼開催日
2025年3月16日(日)
▼スタート&フィニッシュ
台北市役所
▼出場選手
谷 順成
フォン・チュンカイ
岡 篤志
沢田 時
ルーベン・アコスタ
▼競技概要
台北市役所~市府通り特設コース左回り 10.4km×8周 総距離83.2km
出走:110名
スタート時間:9:42(日本時間)
▼レースレポート
今年もツール・ド・台湾が開幕した。16日の第1ステージから20日の第5ステージまで、全628.66kmで争われる。近年、UCIポイントを求めてアジア以外からの参戦も多く、また日本からは宇都宮ブリッツェン以外にJCLチーム右京、スパークルおおいたレーシングチーム、キナンレーシングチーム、愛三工業レーシングチームの4チームが参戦。さらにイタリア籍ではあるがSOLUTION TECH VINI FANTINIは、新加入の新城幸也選手をエースにすえてエントリーした。
宇都宮ブリッツェンはフォン・チュンカイ、谷順成、沢田時、岡篤志、ルーベン・アコスタという布陣。特記すべきはまずフォンだが、そもそも台湾の英雄である上に、今年は台湾ナショナルチャンピオンとしての凱旋レースとなり、レース前後は多くのファンに囲まれ、チームプレゼンテーションは大いに盛り上がった。レース中継中も宇都宮ブリッツェンの応援フラッグを持ったファンが大映しにされるほどだった。ほかにアコスタは昨年この大会で総合8位であるため、大会側からも注目されている。
さらにレース以外でも特記事項が多く、鈴木真理監督の宇都宮ブリッツェンとしての初UCIレースであるし、自社ブランドのホイールVRECORDのUCIデビュー戦でもある。また、チームカラーにほどこされたMERIDAバイク、さらにフォンの台湾ナショナルチャンピオンジャージのお披露目もあった。チームカラーのバイクに乗れることはチームとして大変名誉なことであるし、特にフォンのバイクは台湾カラーと似顔絵がデザインされているので、ぜひ注目していただきたい。それらを含め、今年のツール・ド・台湾は、チームにとってさらに気持ちの入るレースとなった。
<第1ステージ前の鈴木監督のコメント>
「チームとしては、まずは第2ステージに繋げるレースをしたい。第2ステージが勝負どころで、そこで総合順位が見えてくる。そのため、第1ステージはケガのないよう安全に走り、最後にチャンスがあれば、フォンと岡の連携でスプリントをするか…ということになるが、危ないようであればスプリントをやめてもいいと思っている。岡自身がスプリントをやりたいと言っているので、やれるときはやっていく」
今季就任した鈴木監督は、現役時代は名スプリンターであった。今日の第1ステージは、台北市役所前の目抜き通りを周回するレースで、スプリンター向きのオールフラットだ。しかも直線折り返しの周回なので、逃げが決まりにくい。またコースは柄の長いハンマーを寝かしたような形で、フィニッシュはハンマーの部分。3つのコーナーを経てのゴールスプリントとなり、位置取りのテクニックとチームの連携が必要だ。この日は時折小雨が降る程度であったが、それまで続いた雨で路面は濡れ、気温が低くてベストを着たままの選手もいたほどで、純粋なスプリント勝負にはあまりいい条件ではなかった。
華やかなオープニングセレモニーのあと、4周回というやや長めのパレード走行を終えてリアルスタートが切られた。低温とウェットコンディションとコースレイアウトのせいか、それほど激しいアタック合戦はなかったが、スタートから約18kmで4名の逃げが決まった。D'AMATO Andrea選手(JCLチーム右京)、KRETSCHY Moritz選手(ISRAEL - PREMIER TECH)、PRIMOŽIČ Jaka選手(HRINKOW ADVARICS)、KEE Zhe Yie選手(TERENGGANU CYCLING TEAM)だが、この4人が3回のスプリントポイントをすべてKRETSCHY Moritz選手、PRIMOŽIČ Jaka選手、KEE Zhe Yie選手の順で通過し、彼らはそれぞれ9秒、6秒、3秒のボーナスポイントを得た。
レースはQUICK PRO TEAMを中心に集団がコントロールされ、逃げとの間が30秒前後で保たれるように進んだ。宇都宮ブリッツェンは安全に集団待機を選択。第2ステージに備えるのも重要事項のため、それが遂行された形だ。
やがて、逃げの4人は残り2kmで集団に飲み込まれ、そこからはスプリント勝負がスタートした。集団はROOJAI INSURANCEのコントロールに変わり、他チームがそこに被せてくる混沌とした状況の中、ゴールスプリント前3つのコーナーの最初でフォンが岡を見つけ、その前に出て牽引に成功した。しかし2つ目のコーナーではぐれてしまい、最終コーナーから残り200mは各々が自力でスプリントするしかなく、フォンが健闘して10位。岡は最後まで諦めず16位となった。
フォンは台湾ベストライダー賞となったが、アジアベストライダーは逃した。全出場選手が同タイムでフィニッシュし、フォンの10位はアジア人最高位であったが、逃げたKEE Zhe Yie選手が3秒のボーナスタイムを得ていたため、総合で逆転を許して逃した形だ。それでも、36歳のベテランが、台湾ナショナルチャンピオンジャージを着て台湾ベストライダー賞を獲ったことは、チームにとっても、大会側にとっても喜ばしいことだ。
レース後、チームカーの周りには多くのファンが駆けつけ、皆でしっかりと謝辞を伝え、交流し、明日の第2ステージの地へと移動した。この大会のキーとなる明日のステージにかけたい。
【レース後の岡のコメント】
序盤で逃げが決まったあとは、終始落ち着いてはいた。ただ、かなり冷えてしまって、体の動きがあまりよくなかった。最後はスプリントにトライはしたが、位置取りがうまくいかなかった。フォンと連携するというプランだったが、はぐれてしまった。最後も勝負に絡めなかったので、あまり1日にはできなかった。まずはチーム全員同タイムでゴールできたので、明日からまた頑張りたい。
【レース後の鈴木監督のコメント】
4人の逃げがきまり、そこからは他のチームが集団をコントロールしたので、だいぶ安全にレースが進み、そこは良かったと思う。明日の第2ステージが重要なので、まずはケガをしないことも大切だった。その中でチャンスを狙うということだったが、最後、フォンが岡を連れていき、一応、連携はしていて、作戦通りに動いてくれた。優勝まではいかなかったということ。初戦なので、レースに慣れていくということも重要だと思う。
▼第1ステージリザルト
1位 QUICK Blake(ROOJAI INSURANCE) 1h41’11”
2位 HENNEQUIN Paul(EUSKALTEL-EUSKADI) +0’00”
3位 EINHORN Itamar(ISRAEL - PREMIER TECH) +0’00”
10位 フォン・チュンカイ(宇都宮ブリッツェン) +0’00”
16位 岡篤志(宇都宮ブリッツェン) +0’00”
61位 沢田時(宇都宮ブリッツェン) +0’00”
77位 谷順成(宇都宮ブリッツェン) +0’00”
78位 ルーベン・アコスタ(宇都宮ブリッツェン) +0’00”
▼第1ステージ終了後の総合リザルト
1位 QUICK Blake(ROOJAI INSURANCE) 1h41’01”
2位 KRETSCHY Moritz(ISRAEL - PREMIER TECH) +0’01”
3位 HENNEQUIN Paul(EUSKALTEL-EUSKADI) +0’04”
13位 フォン・チュンカイ(宇都宮ブリッツェン) +0’10”
19位 岡篤志(宇都宮ブリッツェン) +0’10”
62位 沢田時(宇都宮ブリッツェン) +0’10”
77位 谷順成(宇都宮ブリッツェン) +0’10”
78位 ルーベン・アコスタ(宇都宮ブリッツェン) +0’10”
※全リザルトは下記URLをご参照ください。
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