【レポート】JBCF Jプロツアー 第3戦 西日本ロードクラシック
▼開催日
2025年4月20日(日)
▼スタート&フィニッシュ
兵庫県立播磨中央公園(兵庫県加東市下滝野1275-8)
▼出場選手
谷 順成
沢田 時
岡 篤志
ルーベン・アコスタ
武山晃輔
花田聖誠
▼競技概要
兵庫県立播磨中央公園 園内特設コース 4.2km+7.2km✕19周回 総距離141km
出走:111名
スタート時間:9:50
▼レースレポート
今回で59回という歴史あるレース「西日本ロードクラシック」が兵庫県立播磨中央公園で開催された。Jプロツアーとしては第3戦。
宇都宮ブリッツェンは谷順成、沢田時、岡篤志 ルーベン・アコスタ、武山晃輔、花田聖誠の6名がスタートラインについた。フォン・チュンカイは直前にインフルエンザに罹患し、残念ながら欠場に。前回Jプロツアー第2戦真岡芳賀ロードレースで優勝し、Jプロツアー個人ランキング第3位につけていただけに、残念な欠場となった。しかし、鈴木監督は「その分、みんなでできることをやるだけ。ハンデを力に変えたい」と言う。
<レース前の鈴木監督のコメント>
「選手はしっかり練習ができていて、いい走りができるのではないかと思っている。サバイバルな展開になっても優勝が目指せるし、緩い展開になってもスプリント力がある選手が多いし、どちらになってもいいが、チームとしてはまずはサバイバルな展開に持っていき、数的有利な状況にして、最後優勝できるようにしたい。フォン選手と菅野選手が出場予定だったが欠いてしまった。枚数使ってレースを動かしたかったが、その数が減ってしまう。その分、みんなでできることをやるだけ。ハンデを力に変えていきたい」
<レース前の谷のコメント>
「前回の真岡芳賀ロードレースで、うちのチームはフォン選手が優勝したし、全員がいい状態にあるので、今日も優勝を狙っていきたい。上りがきつく、そこを19回も上ることになるが、スプリンターチームが出場しておらず、どちらかと言うとサバイバルな展開に持ち込みたいチームが多いので、やはりサバイバルになると思うが、チームとしてはそういう展開のほうが強い。しっかり流れに乗っていき、チームにとって常にいい状態でレースを進めたい。僕自身もしっかり勝てるように準備をしてきたので、勝利を目指したい」
コースは五峰山山麓の丘陵地帯にある兵庫県最大の都市公園内のため、路面コンディションはいいが、細かいアップダウンを繰り返す上に、前半はカーブが多く道幅が細いため抜きどころが難しく、後半はダイナミックに上って下るため、周回を重ねると脚にくる。レース展開によっては完走者の少ないサバイバルなレースとなる。参考までに昨年は117名の出走で完走者は42名、TEAM BRIDGESTONE Cyclingが表彰台を独占し、宇都宮ブリッツェンは谷が6位に入ってる。昨年レースを仕切ったTEAM BRIDGESTONE Cyclingは今回は欠場した。
レースは4.2kmの小周回を走ったあと本周回に入る。特にアタック合戦は起こらずスタートしたが、本周回に入るとアタックが繰り返される。宇都宮ブリッツェンは武山と花田が集団前方に位置し、アタックを潰す。そんな中の3周回目、細いワインディングロードのコース前半で集団に中切れが発生し、前が30名弱となる。宇都宮ブリッツェンはそこに5名(沢田時、岡篤志、ルーベン・アコスタ、武山晃輔、花田聖誠)がきっちり入り、このレースを前々で展開できていることを証明した。
その3周回目の最後に7名の逃げができる。そこに沢田時、岡篤志、ルーベン・アコスタの3名が入り、他にLeonel Quintero選手、Elliot Schultz選手(以上ヴィクトワール広島)、入部正太朗選手(シマノレーシング)、佐藤光選手(TeamCyclersSNEL)も乗った。最大40秒ほどの差を集団とつけながら、7名は8周回に入る手前で捕まるが、宇都宮ブリッツェンとしては少し人数が多すぎたし、フィニッシュがわずかに上ったレイアウトになるため、集団スプリントになったときに勝機がある3名が逃げに入ってしまい、このままでは攻撃のパターンに幅を持たせられないため、あまりいい展開ではなかった。
この7名が捕まったことが、結果的に正解だったと言わせてくれたのが、沢田の逃げだった。9周回目でElliot Schultz選手(ヴィクトワール広島)と2人で集団から飛び出した。先の7名の逃げに入っていた沢田が、集団で1周休んだだけで再び逃げに乗ったのだ。
先週、今日と同じ兵庫県で行なわれたマウンテンバイクのレース「菖蒲谷XCO」で優勝を飾った沢田。その際は雨による泥でジャージが判別できなくなるほどで、沢田に「人生で一番きついレースだった」と言わしめた、まさにサバイバルなレースをこなしたばかり。宇都宮に帰り「ロードバイクは軽い! 進む!」と、その差を楽しんでいたのを思い出すと、沢田にとっては今日は大変快適な状況でのレースだったのかもしれない。
沢田とSchultz選手のランデブーは最大で1分50秒のタイムギャップを生んだ。後ろでは宇都宮ブリッツェンの残る5名がしっかりと集団に蓋をし、アタックを細かく潰していく。また、8名で出場していたヴィクトワール広島も集団コントロールに加勢したため、差が縮まらない。Jプロツアーのリーダージャージを保有していたマトリックスパワータグが集団牽引する姿も見せたが、オーストラリア選手権4位の実力者Schultz選手の強力な逃げには叶わず。沢田もSchultz選手のその強さは並走しながら感じていたようだ。
ラスト周回。沢田にとっては、集団を待って岡かアコスタの集団スプリントに持ち込む考えも持っていたが、逃げ切りが濃厚となり、ここで牽制をして表彰台を逃してはならないと、売り切れそうな脚にムチを打って最終周の7.2kmに賭けた。タイム差は33秒に縮んでいたが、残り5kmで30秒差だったのを、残り3kmでは35秒差に広げた。口を開けて苦しそうにしながらSchultz選手に食らいつくが、最後の上りの頂上手前でとうとう引き離されてしまった。大健闘だ。ただ、沢田自身の頑張りもすごいが、集団をコントロールした他のチームメイトも素晴らしい働きをしたことにも注目したい。1周目からの武山、花田のチェックに始まり、3~7周回目の7人の逃げには沢田時、岡篤志、ルーベン・アコスタが入り、実は8周回目にできた逃げに谷が乗っており、それはすぐに捕まったが、9周回目で沢田の逃げが成功し、その後は全員で集団をコントロールした。今日のレースは宇都宮ブリッツェンがいいレースを組んだと言ってもいいだろう。
優勝はSchultz選手となり、沢田は引き離されたまま、わずか2秒差で2位。今季は早くもロードレースでの表彰台を獲得した。鈴木真理監督率いる宇都宮ブリッツェンが、全員で掴んだ2位だった。沢田は来週開催されるマウンテンバイクのアジア選手権で2連覇を狙い、そのために明日出国する。沢田時の勢いは止まりそうにない。
【レース後の沢田のコメント】
レース序盤にElliot選手との逃げが決まるその前も逃げていたので、今日は結果的にレース中ほとんど逃げることになった。まさか2人で逃げ切れるとは思っていなかった。とてもきついレースだった。Elliot選手はオーストラリア選手権4位の実力があり、実際に強かった。自分としては後ろを待ちたいというのもあったし、実力的にも前をあまり引くことができなかった。彼は逃げ切りたく、「アタックしないから最後まで一緒に行こう」と言われ、最低限で回り、なんとか最後まで逃げ切ることができた。最後上りの頂上で引き離されたときは、「まぁ、そうなるよな」という感じだった。脚が全く残ってなく、あそこまで行けるかも不安だった。そんな中で、あまり牽制すると表彰台も逃してしまうことになるので、最後までペースを落とさずに行った。今思えば、もう少し脚を溜めていれば、勝負に絡めていたのかなと思うが、まだシーズン序盤なので、チームにこういう情報を共有することで、次の勝ちに繋げられるかと思う。明日、マウンテンバイクのアジア選手権出場のために出国する。正直、今日のレースに出るか迷った。結果的に出てよかった。レースの内容的にもいい刺激が入ったし、調子がいいこともわかったので、しっかりリカバリーすれば、5月24日(土)のレースに向けて整うかなと思う。応援ありがとうございました。
▼リザルト
1位 Elliot Schultz(ヴィクトワール広島) 3h30’03”
2位 沢田時(宇都宮ブリッツェン)+0’02”
3位 金子宗平(群馬グリフィンレーシングチーム)+0’04”
4位 岡篤志(宇都宮ブリッツェン)+0’06”
9位 ルーベン・アコスタ(宇都宮ブリッツェン)+0’08”
28位 谷順成(宇都宮ブリッツェン)+0’22”
31位 武山晃輔(宇都宮ブリッツェン)+0’44”
72位 花田聖誠(宇都宮ブリッツェン)+2’24”
※全リザルト(速報値)は下記URLをご参照ください。
https://jbcfroad.jp/wp-content/uploads/2025/03/JPT.pdf
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