▼レースレポート
沢田時にとって、今回の会場「八幡浜市民スポーツパーク」は特別な場所のひとつだろう。2021は念願だった全日本チャンピオンのタイトルを獲得し、昨年はアジア競技大会日本代表を手に入れているからだ。
今大会のコースには車幅の狭い登りセクション、激坂の「桜坂」、土から露出した木の根が連なる「ゴジラの背中」などが待ち構えるが、沢田にとっては慣れた走り慣れた道。アジア選手権優勝で見せた好調さもキープしており、2連覇にも期待がかかった。
序盤の先頭グループは沢田のほか、平林安里選手(TEAM SCOTT CHAOYANG TERRA SYSTEM)、松本一成選手(TEAM RIDE MASHUN)の3選手で形成。1周を終え、沢田は平林選手に続く2番手でスタート&フィニッシュ地点へ戻ってきた。4番手の竹内選手(MERIDA BIKING TEAM)は14秒遅れで続く。
2周目に入り沢田は得意の登り区間でペースアップすると平林選手が遅れ出す。代わりに宮津旭(OLIVE)が猛追をみせて先頭グループに合流し、沢田、宮津選手、松本選手の新たな先頭パックが形成される。このまましばらく3名の攻防が続くと思われたが、2周目後半の下り区間でまさかのクラッシュが発生。宮津選手と松本選手が巻き込まれて先頭パックから遅れてしまう。運良くクラッシュを避ける事が出来た沢田だが、ここから単独先頭でゴールを目指す。
3周目を終えた時点で竹内選手が8秒差と真後ろに迫ってきたが、登りセクションで差を広げていく。5周目に入る頃には竹内選手に35秒、3番手に順位を上げてきた宮津選手までは1分12秒と、沢田のリードは縮まることを知らない。もはやトップは盤石、2連覇も目前となった沢田だが脚を緩めることはなく、ただひらすらペダルを回す。登りセクション、桜坂と序盤と変わらぬハイペースで駆け上がり、沢田時劇場はクライマックスに突入する。