▼レースレポート
今年で31回目の開催となった宇都宮ジャパンカップ・ロードレース。UCIプロシリーズに認定されたアジア最高峰のワンデーレースとして、シーズン最終盤にも関わらず本場ヨーロッパを主戦場とするワールドツアーチーム、そして宇都宮ブリッツェンを筆頭とする国内チームが集結した。全19チームが宇都宮市森林公園周回コースを激走し、日本中から集まった観客から熱い声援を受けた。
昨年は雨により13周に短縮された本大会だが、今年は朝から天候に恵まれた。この日は西村大輝監督の30歳の誕生日。レース前には待機テント内で選手たちからハッピーバースデーの歌がプレゼントされる一幕も。今シーズン限りでの退団が発表されている西村監督、ジャパンカップでの最後の1日が始まった。
宇都宮ブリッツェンは、谷順成、沢田時、花田聖誠、フォン・チュンカイ、ルーベン・アコスタ、ジェシット・シエッラの布陣でレースに挑んだ。中でも花田は2019年、Team EURASIA-iRC TIRE所属時代にジャパンカップ・オープンレース男子でスプリント勝負を制して優勝しており、さらに普段から走り慣れた地元の古賀志山が舞台だけにやる気がみなぎっていた。
3度目の参加となる谷は「宇都宮ブリッツェンが一番コースを知っているので、そこは活かしていきたい。今年のメンバーは脚質が違うが、それぞれの得意分野を活かして力を合わせれば十分戦えると思う。(昨年は28位で終えたため)個人としてはまずトップ10を目指したい」と意気込みを見せる。
レースは10時のスタート直後から動いた。古賀志山のKOM(山頂の山岳賞ポイント)を越えてダウンヒルを終えると6名の小集団が抜け出した。サイモン・フィリップ・イェーツ選手(チーム・ジェイコ・アルウラー)、アンドレア・パスクアロン選手(バーレーン・ヴィクトリアス)、ゲオルク・シュタインハウザー選手(EFエデュケーション・イージーポスト)、ハミッシュ・ビードル選手(チーム ノボ ノルディスク)、山本大喜選手(JCL TEAM UKYO)、 入部正太郎選手(シマノレーシング)だ。
6名は1周目を終えて、メイン集団に39秒までタイム差を広げた。ホームストレート通過後に入部選手が脱落し、先頭グループは5名で2周目のヒルクライムに突入する。後方ではリドル・トレック勢が集団を牽引。逃げはビードル選手も脱落し、4名でローテーションを行う。
3周目、最初の山岳ポイントはイェーツ選手が獲得。宇都宮ブリッツェンはKOMをアコスタが39位、沢田が53位で通過。4周目に突入すると、先頭4名と後続のタイム差は48秒になった。
4周目の山頂を越えると新たな動きが。登りで追い上げた後続数名が下りを使って先頭4名に合流、宇都宮ブリッツェンからも12位通過のアコスタがジョインに成功した。逃げは計13名になった。
しかし5周目突入時で先頭と後続のタイム差はわずか14秒。古賀志山の登りでその差は無くなり、レースは振り出しに戻ることに。6周目、2回目の山岳賞は登りの前半で単騎で抜け出したアントニー・ペレス選手(コフィディス)が軽快なペダリングで獲得。
ペレス選手がそのまま6周を完了すると、16秒差で後続が追走する形になった。だが登りでペレス選手の一人旅は終了し、集団で頂上を通過。平坦に入りペレス選手が後続に吸収されると、スーダル・クイックステップ勢が中心となり先頭でペースを作る。
例年にない、めまぐるしく展開が変わるジャパンカップ。7周完了時点でまたひとつの集団になった。8回目の古賀志山の登りでは、遅れてしまう選手も。宇都宮ブリッツェンは沢田、シエッラ、花田が厳しくなってしまう。ワールドツアーの選手ですら脱落してしまう難コース、生き残りをかけたサバイバルレースになってきた。