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2024/10/20 レース

【レポート】2024宇都宮ジャパンカップ・ロードレース(UCIプロシリーズ)

【レポート】2024宇都宮ジャパンカップ・ロードレース(UCIプロシリーズ)

 

▼開催日

2024年10月20日(日)

 

▼スタート&フィニッシュ

宇都宮市森林公園(栃木県宇都宮市福岡町1074-1)

 

▼出場選手

谷 順成

沢田 時

花田 聖誠

フォン・チュンカイ

ジェシッド・シエッラ

ルーベン・アコスタ

 

▼競技概要

宇都宮市森林公園周回コース 10.3km×14周 総距離:144.2km(山岳賞は3周、6周、9周、12周)

出走:112名(19チーム)

スタート時間:10時00分

▼レースレポート

 

今年で31回目の開催となった宇都宮ジャパンカップ・ロードレース。UCIプロシリーズに認定されたアジア最高峰のワンデーレースとして、シーズン最終盤にも関わらず本場ヨーロッパを主戦場とするワールドツアーチーム、そして宇都宮ブリッツェンを筆頭とする国内チームが集結した。全19チームが宇都宮市森林公園周回コースを激走し、日本中から集まった観客から熱い声援を受けた。

 

昨年は雨により13周に短縮された本大会だが、今年は朝から天候に恵まれた。この日は西村大輝監督の30歳の誕生日。レース前には待機テント内で選手たちからハッピーバースデーの歌がプレゼントされる一幕も。今シーズン限りでの退団が発表されている西村監督、ジャパンカップでの最後の1日が始まった。

 

宇都宮ブリッツェンは、谷順成、沢田時、花田聖誠、フォン・チュンカイ、ルーベン・アコスタ、ジェシット・シエッラの布陣でレースに挑んだ。中でも花田は2019年、Team EURASIA-iRC TIRE所属時代にジャパンカップ・オープンレース男子でスプリント勝負を制して優勝しており、さらに普段から走り慣れた地元の古賀志山が舞台だけにやる気がみなぎっていた。

 

3度目の参加となる谷は「宇都宮ブリッツェンが一番コースを知っているので、そこは活かしていきたい。今年のメンバーは脚質が違うが、それぞれの得意分野を活かして力を合わせれば十分戦えると思う。(昨年は28位で終えたため)個人としてはまずトップ10を目指したい」と意気込みを見せる。

 

レースは10時のスタート直後から動いた。古賀志山のKOM(山頂の山岳賞ポイント)を越えてダウンヒルを終えると6名の小集団が抜け出した。サイモン・フィリップ・イェーツ選手(チーム・ジェイコ・アルウラー)、アンドレア・パスクアロン選手(バーレーン・ヴィクトリアス)、ゲオルク・シュタインハウザー選手(EFエデュケーション・イージーポスト)、ハミッシュ・ビードル選手(チーム ノボ ノルディスク)、山本大喜選手(JCL TEAM UKYO)、 入部正太郎選手(シマノレーシング)だ。

 

6名は1周目を終えて、メイン集団に39秒までタイム差を広げた。ホームストレート通過後に入部選手が脱落し、先頭グループは5名で2周目のヒルクライムに突入する。後方ではリドル・トレック勢が集団を牽引。逃げはビードル選手も脱落し、4名でローテーションを行う。

 

3周目、最初の山岳ポイントはイェーツ選手が獲得。宇都宮ブリッツェンはKOMをアコスタが39位、沢田が53位で通過。4周目に突入すると、先頭4名と後続のタイム差は48秒になった。

 

4周目の山頂を越えると新たな動きが。登りで追い上げた後続数名が下りを使って先頭4名に合流、宇都宮ブリッツェンからも12位通過のアコスタがジョインに成功した。逃げは計13名になった。

 

しかし5周目突入時で先頭と後続のタイム差はわずか14秒。古賀志山の登りでその差は無くなり、レースは振り出しに戻ることに。6周目、2回目の山岳賞は登りの前半で単騎で抜け出したアントニー・ペレス選手(コフィディス)が軽快なペダリングで獲得。

 

ペレス選手がそのまま6周を完了すると、16秒差で後続が追走する形になった。だが登りでペレス選手の一人旅は終了し、集団で頂上を通過。平坦に入りペレス選手が後続に吸収されると、スーダル・クイックステップ勢が中心となり先頭でペースを作る。

 

例年にない、めまぐるしく展開が変わるジャパンカップ。7周完了時点でまたひとつの集団になった。8回目の古賀志山の登りでは、遅れてしまう選手も。宇都宮ブリッツェンは沢田、シエッラ、花田が厳しくなってしまう。ワールドツアーの選手ですら脱落してしまう難コース、生き残りをかけたサバイバルレースになってきた。

しかし、谷とアコスタが集団前方で踏ん張りを見せる。9周目に谷は9位、アコスタが32位で突入。9周目、3回目の山岳ポイントはアーチー・ライアン選手(EFエデュケーション・イージーポスト)が獲得。谷は14秒遅れの34位、アコスタは16秒遅れの37位で通過する。

 

平坦区間に入り、田野の交差点を越えると日本人選手3名を含む計9名が抜け出しに成功。12秒差で後続が追いすがる。10周回目のヒルクライムに入るとその差もなくなり、2019年ジャパンカップ2位のマイケル・ウッズ選手(イスラエル・プレミアテック)らがペースアップ。一列棒状になって選手たちは頂上を通過していく。

 

ウッズ選手は平坦区間でもアタックを見せるが、ライバルたちは抜けがけを許さない。ウッズ選手、2022年ジャパンカップ優勝のニールソン・パウレス選手(EFエデュケーション・イージーポスト)ら14名が逃げを形成。2人は古賀志山のヒルクライムでも脚の違いを見せつけ、わずかにリードして一騎打ちで山頂を通過。それを見逃さないのが2022年ミラノ〜サンレモ優勝のマテイ・モホリッチ選手(バーレーン・ヴィクトリアス)だ。

 

残り4周で優勝候補たちの逃げが決まる。モホリッチ選手、パウレス選手、ウッズ選手、そこにスーダル・クイックステップの2名(イラン・ファン・ウィルデル選手、マウリ・ファンセヴェナント選手)が加わった5名でローテーションしながらひた走る。

 

12周目、4回目の山岳賞はパウレス選手が獲得。5名は追走に1分以上にタイム差をつけた。海外勢が先頭争いを続ける中で、宇都宮ブリッツェンは沢田と花田がリタイヤでバイクを降りた。12周目完了時点で、逃げる5名は後続とのアドバンテージを1分54秒とさらに広げた。宇都宮ブリッツェンで残った谷ら4名は先頭から4分以上後方の集団を走る。

 

5名が逃げ続け、いよいよファイナルラップに突入。古賀志山の攻防でウッズ選手、パウレス選手、ファンセヴェナント選手、モホリッチ選手の順で山頂を通過。優勝争いは5名に絞られ、田野の交差点から始まるアップダウンで激しいアタック合戦が勃発。世界レベルの駆け引きが始まった。

 

そこで一枚上手だったのがアメリカ人ライダー、2022年の覇者パウレス選手だ。ホームストレートに最初に姿を見せると、ライバルの差しを許さずに2度目の勝利をもぎとった。

 

今回の完走は54名、半数以上がDNFとなっている。宇都宮ブリッツェンは29位のフォン、40位のシエッラ、51位のアコスタが完走。後半まで粘りの走りを見せた谷も完走は果たせなかった。地元チームとして苦渋をなめる大会となったが、この経験と悔しさの積み重ねは必ずチームを強くする。

 

今年はクリテリウムも国内チームは本場のパワーに歯が立たなかった。ジャパンカップは海外チームの「本場の走り」を目の当たりにできる貴重な大会だが、やはりファンは日本人の活躍も見たい。宇都宮ブリッツェンはその先陣を切って、古賀志山を駆け抜ける姿を来年は見せてくれるはずだ。

【西村大輝監督のレース後のコメント】

世界のレベルの高さを痛感し、目標のリザルト(トップ10と山岳賞獲得)には届かなかったが選手は全力を尽くしてくれた。シーズン後半からチームは良い形になってくれていた。山岳賞は最初の逃げに乗れなかったのが痛かった。リザルトは完全に力負け。力をつけるしかない。

ここをステップにもっと強いチームになってくれると信じている。ファンの皆さんが選手への声援や、チームカーを運転している僕の名前を呼んでくれたり、「お疲れ様!」と声をかけてくれて嬉しかった。

目の前のレースに集中していたため(退団について)そこまで意識していなかったが、レースが始まると多くの方が声をかけてくれて、地元で走るのが、宇都宮ブリッツェンの監督として走るのが最後なんだと実感した。しみじみというか、(心に)くるものがあった。

 

【フォン・チュンカイのレース後のコメント】

本当に疲労していて、まるで屍のようになっている。そんな状態だったが最後はスプリントをすることで少しでも順位を上げることにした。今日は晴れたのでよかった。ジャパンカップはこの10年間ずっとDNFだった。今日は最初の5周はかなりキツかったが、最後の5周では逆に脚が回復した感じがして200%の力でやり切ったと思う。ホームタウンで声援を沢山もらい、力をもらえてハードなレースでも頑張ることができた。応援ありがとうございました。

 

▼リザルト

 

1位 ニールソン・パウレス(EFエデュケーション・イージーポスト) 3:33’30”

2位 イラン・ファン・ウィルデル(スーダル・クイックステップ) +0:00

3位 マテイ・モホリッチ(バーレーン・ヴィクトリアス) +0:00

 

29位 フォン・チュンカイ(宇都宮ブリッツェン) +11:50

40位 ジェシット・シエッラ(宇都宮ブリッツェン)+11:50

51位 ルーベン・アコスタ(宇都宮ブリッツェン) +14:05

DNF 谷順成(宇都宮ブリッツェン)

DNF 沢田時(宇都宮ブリッツェン)

DNF 花田聖誠(宇都宮ブリッツェン)

 

※全リザルトは下記URLをご参照ください。

https://www.japancup.gr.jp/sites/default/files/documents/2024/10/2024UJC_Communique5_Result_RD.pdf