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2024/12/15 レース

【レポート】第 30 回 全日本自転車競技選手権大会 シクロクロス

【レポート】第 30 回 全日本自転車競技選手権大会 シクロクロス

 

▼開催日

2024年12月15日(日)

 

▼スタート&フィニッシュ

道の駅うつのみや ろまんちっく村(栃木県宇都宮市新里町丙 254)

 

▼出場選手

沢田 時

 

▼競技概要

道の駅うつのみや ろまんちっく村特設コース 2.7km✕9周+0.7km=総距離25㎞

出走:67名

スタート時間:14:30

 

▼レースレポート

 

宇都宮ブリッツェンとしては今季最後の公式戦となる全日本自転車競技選手権大会 シクロクロスが、チームの地元宇都宮市・道の駅うつのみや ろまんちっく村で開催された。宇都宮ブリッツェンからは沢田時が出場した。

 

ライバルはやはり織田聖選手(弱虫ペダルサイクリングチーム)。現日本チャンピオンであり、今大会は3連覇がかかる。今季のシクロクロス国内レースでも勝利を重ね、ロードレースでもマトリックスパワータグに所属し、上位入りが多々見られた。そんな織田選手に、茨城シクロクロス土浦ステージで土をつけたのが副島達海選手(大阪産業大学)だ。今季絶好調で、力強い走りで沢田もねじ伏せられてしまう場面が見られた。マウンテンバイクにも出場し、沢田は2024年のアジアチャンピオンであるが、副島選手はU23のアジアチャンピオンだ。

 

<レース前の沢田のコメント>

「リラックスしてこの日までを過ごしたが、やはり大会当日は緊張するのが正直なところ。それが全日本なんだなと思う。昨日も試走をしたが、昨日はコースが乾いていて簡単だったが、今日はぬかるみが増え…、つまり滑る箇所が増え、そこでミスが増えるだろうなと予想する。難しいコースだと感じる。ライバルを意識しすぎるのもミスに繋がると思うが、しっかりと重要なポイントは逃さず、前々で展開して、最後まで力を出し切りたいと思う。ホーム宇都宮での開催の上に、今シーズン最後のレースとなるので、沿道の皆さんに楽しんでいただけるレースをしたい。今日も応援いただけたら嬉しい」

 

アップを終え、「今年最後のウォームアップが終わった。あとは60分全力を出してきます!」と言いながらスタートラインへ向かった沢田。右手に織田選手、左手に副島選手という並びで、ゼッケン2番の沢田がスタートの号砲と共に飛び出す。

 

ホールショットを取ったのは副島選手。沢田は2番手通過。3周目に入るところまでは、織田選手も加えた優勝候補3名が冷静に周回を重ねる。全9周というアナウンスが告げられた3周目でレースは動いた。シケイン手前のセクションから織田選手が前に出てペースアップし、若干のアドバンテージを得てシケインに入る。

 

今季沢田は、自転車に乗ったまま跳んでシケイン(地面にある高さ40センチ未満の障害物)を超えるられるようにバニーホップの練習を積み重ね、その動きはとても滑らかになり、手応えを感じていた、織田選手、副島選手もバニーホップでシケインを超えるスタイルだが、織田選手の正確さは飛び抜けており、織田選手は得意のシケインで更にライバルを突き放す作戦だった。

みるみる織田選手は先行し、単独トップに。2番手パックに沢田と副島選手がいたが、5周目で前との差は15秒、6周目で23秒…と、少しずつ開いていく。そして7周目に沢田が姿を表したときは、副島選手から遅れて3番手という形に。途中、チェーン落ちのトラブルがあったという。チェーン落ちはもう一度あり、2番手副島選手との差は30秒ほど開いていき、トップの織田選手からは1分近く開くことになってしまった。

 

沿道から、途切れることのない大声援を受け、沢田は諦めることなく踏み続ける。

しかし、トップ3の差は埋められぬまま、優勝は織田選手、沢田は3位となった。

 

沢田にとっての2024年は、マウンテンバイクのアジア選手権優勝や、初のロードレース公式戦優勝など輝かしい戦績を残したが、それを獲得するための努力と集中力は我々の想像を超える。それだけに、シクロクロスシーズンに入って実感した疲労の蓄積は、レースを転戦しながらでは解消が追いつかず、もどかしさも感じながら全日本を迎え、「優勝を目指す全日本という大会で、今の実力を表す3位だった」と涙ながらにコメントする沢田。途中のチェーン落ちのトラブルも「実力の無さが引き起こしたこと」と自身を戒めた。涙の理由は、ギリギリのところで駆け抜けた2024シーズンから解放された安堵もあるが、どんなときでもサポートをしてきたチームと、励ましてくださったファンや関係者のみなさまへの感謝の気持ちがあったようだ。

 

今シーズンの宇都宮ブリッツェンの公式戦はこれですべて終了しました。チームを支えてくださる関係者、ファン、スタッフの皆様だけでなく、共に戦う他チームの選手の皆様、大会を運営してくださる皆様、コースを使わせていただく地域住民の皆様、ここには書ききれないほどのすべての皆様に感謝申し上げます。来シーズンも宇都宮ブリッツェンをよろしくお願いいたします。

【レース後の沢田時のコメント】

本当に長い一年だった。(涙ぐみ、言葉を絞りながら)いや…、全部無理かなと思ったときはあった。本当に支えてもらって…、力を出し切れたので…、今日は、満足…、はい。途中2回ほどチェーン落ちがあったが、そればかりが敗因ではない。全日本は優勝を目指す大会。織田選手がアタックを仕掛けたとき、副島選手を引っ張って追い上げる走りができなかったし、それどころか、副島選手の後ろにいるしかできなかった。チェーン落ちのトラブルは実力の無さが引き起こしたことだと思っている。結果的に実力通りの3番だった。でも、今日の自分のパフォーマンスには満足している。スタートからゴールまですごい声援をいただき、2024年は自分にとっては間違いなくいい年だった。シクロクロスは途中、つらいときがあったが、今日、最後のレースでこんなにたくさんの方に応援してもらって、本当に幸せだった。ありがとうございました。(レース続きの日々が終わり、このあと来季までどう過ごすかと聞かれ)自転車のことは嫌にはなっていないが、久しぶりにレースがないということで、だいぶリラックスできるなと思っている。でも2025年はもっといい年にしたいし、もっと上に行きたいので、今はしっかり休んで、そうすれば次にやりたいことがどんどん浮かんでくると思う。休養を取れば「やるぞ」という強い気持ちが戻ってきてくれると思うので、しっかり休みたい。2025年の全日本選手権は笑えるように、また2025年は春からパフォーマンスが出せるように準備したい。1年間ありがとうございました。

 

 

▼リザルト

 

1位 織田聖(弱虫ペダルサイクリングチーム) 0h57'12'’

2位 副島達海(大阪産業大学) +0’26”

3位 沢田時(宇都宮ブリッツェン) +1’03”

 

※全リザルトは下記URLを開き、MEN ELITEページをクリックいただくと確認可能です。

https://www.uci.org/competition-details/2025/CRO/74033